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世界初!「ケトン食」臨床実験で末期がん患者の83%が改善

ライフ 投稿日:2016.10.23 20:00FLASH編集部

世界初!「ケトン食」臨床実験で末期がん患者の83%が改善

写真:AFLO

 

 がん細胞が主な栄養源としているのは、炭水化物から合成されるブドウ糖。一方、正常細胞は、ブドウ糖の供給が途絶えても、「ケトン体」という緊急用のエネルギーを作りだすことができる。ならば、がん患者の体質をケトン体依存に変えれば、がんが治療できることになる。その具体例を、『ケトン食ががんを消す』(光文社新書)を上梓したばかりの古川健司氏が解説する。

 私たち人間が生きていくためには、炭水化物(糖質+食物繊維)、タンパク質、脂質という三大栄養素が、必要だと言われています。

 

 厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準2015年版」には、エネルギーを得るために推奨する三大栄養素の摂取割合は、炭水化物50~65%、タンパク質13~20%、脂質20~30%と明記されています。

 

 炭水化物の割合が高いのは、そのなかに多く含まれる糖質が、脳や肉体の生命活動を維持するための主要なエネルギー源と考えられているからです。

 

 さて、ここで質問です。あなたが「日本人の食事摂取基準」を遵守し、総エネルギーの60%を糖質でまかなっているとします。

 

 その糖質を全エネルギーの10%以下、それも0%へと可能な限り引き下げてみたらどうでしょうか。

 

「冗談じゃない」という声が、どこからか聞こえてきそうです。「そんなに極端な糖質カットをしたら、頭の働きは鈍るし、第一体力が持つはずがない。これでは、仕事どころか、日常生活にも支障をきたすじゃないか」と。

 

 はたして、本当にそうなのでしょうか。

 

 実は、私が目下、がん治療に取り入れている「免疫栄養ケトン食」は、まさにこの極端な糖質制限を拠り所としているのです。もちろん、血液データその他を吟味しつつですが、なかには「糖質95%カット」を実施している患者さんもいるほどです。

 

 免疫栄養ケトン食とは、私が臨床栄養学に基づいて作り上げ、2015年の臨床研究の成果をもって本格的にスタートさせた、がん治療に特化した栄養療法です。

 

 2014年、抗がん剤効果が期待できなくなったステージ4の乳がんの患者さんに、炭水化物の摂取を極端に控えた糖質制限食を指導したところ、まもなく3センチ大の腫瘍がほぼ消失。肺転移と皮膚転移の一部も消失し、QOL(生活の質)が大きく改善されました。
 

 免疫栄養ケトン食の3か月以上の実施者は、この乳がん患者さんを含めて18人。その治療成績を見ると、がんの完全寛解(消失)が5人、がんが30%以上消失した部分奏効が2人、がんの進行制御が8人にも上り、増悪(悪化)はわずか3人にすぎません。

 

 完全寛解が部分奏効よりも多いのは、がんの顕著な縮小や転移巣の消失によって、手術に持ち込めた症例が多いためです。

 

 完全寛解率は約28%。完全寛解も含めた奏効率(がんが消失、もしくは縮小した患者さんの割合)は約39%。進行制御を加えた病勢コントロール率に至っては、実に83%にも上っています。

 

 しかも、実施者の多くは、ステージ4のがん患者さんです。ステージ4と言えば、いわば末期と呼ばれる状態で、この時点で医師の多くは「もはや打つ手なし」と、治療の匙を投げてしまいます。

 

 それを考えると、奏効率39%、病勢コントロール率83%という数字は、まさに驚異的であり、これまでの医学界の常識を覆したと言っても過言ではありません。

 

 私の免疫栄養ケトン食では、炭水化物を極端にカットする代わりに、健常者の約2倍のタンパク質を摂取するようにしています。

 

 ごはん、うどん、パン、パスタなど主食となる炭水化物は、一日3食すべてでNG。かわりに、良質なタンパク質と脂質をメインにした食事に切り替えます。

 

 タンパク質を豊富に含んだ食べ物には、魚介類や肉、大豆、卵などがあります。タンパク質が豊富でも、炭水化物も豊富に含まれている食べ物は、基本的にNGです。

 

 青魚など魚介類の刺身は積極的に摂取する必要があります。

 

 肉は、飽和脂肪酸の少ない鶏肉(皮はNG)や牛・豚のヒレ、モモ肉を選び、脂身の部分をできるだけカットして食べます。

 

 鶏肉に関しては、羽を動かす胸肉を推奨しています。なかでも、何万キロも休みなく飛び続ける渡り鳥の胸肉には、イミダゾールジペプチドという抗疲労成分が豊富に含まれており、これが驚異のスタミナの源泉になっています——。


(引用:『ケトン食ががんを消す』

 

●古川 健司(ふるかわけんじ)

 医学博士。1967年山口県生まれ。92年慶應義塾大学理工学部電気工学科卒。その後、山梨医科大学医学部医学科に入学。99年、消化器外科医を志望し、東京女子医科大学消化器外科に入局。大学では、膵臓班に所属し、当時、膵臓がん手術件数日本一を誇っていた。2006年、(公財)東京都保健医療公社荏原病院外科を経て、多摩南部地域病院外科に勤務。NST(栄養サポートチーム)に従事し、本格的にがんの栄養療法を開始。がん免疫栄養療法の臨床実績を上げて、14年、それまでの栄養療法のケトジェニック化に成功。15年1月より、ステージ4のがん患者を対象に、世界初の臨床研究を開始。現在、がん免疫栄養ケトン食療法の普及に努めている。

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