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検査費用は数百円!? 尿1滴でガンが判明!
ライフFLASH編集部
記事投稿日:2016.03.14 21:02 最終更新日:2016.03.14 21:02
尿を一滴調べるだけで、ガンがあるかないかが95.8%の高確率で識別できる。そんな画期的な検査法が開発された。発案したのは九州大学大学院理学研究院助教の廣津崇亮氏だ。
「ガン患者は特有の匂いがあることが臨床現場では知られています。この匂いをかぎ分けてくれるのが、体長1ミリほどの線 虫という生物。犬と同様にとても優れた臭覚を持っていて、好きな匂いには寄っていき(誘引行動)、嫌いな匂いは避けるんです(忌避行動)。
そこで、尿に対してどう反応するかを調べてみると、ガン患者の尿には誘引行動を、反対に健常者の尿には忌避行動を示すことがわかりました」
線虫は管理がしやすく、低コストで増やせる生物だ。ガン診断に用いる線虫は雌雄同体で、交尾はせず1匹の親が平均100 匹のクローンの子供を生む。
そんな線虫の臭覚を用いたガン診断には、従来にない数々の利点がある。
「ひと言でいうと、短時間で安価。診断結果が出るまで約1時間半、数百円で調べられます。機械化されればさらに安価になります。今後、5大ガン(大腸、肺、胃、乳、子宮)を含む十数種類のガンについて検出可能になる見込みです。これまで早期発見が難しいとされてきた膵臓ガンも含まれます」
さらに、従来の検診では見つけられないステージ1などの早期ガン患者の尿にも強い反応を示すという。
廣津氏は現在、この「線虫を使ったガン検診」の3年以内の実用化を目指している。
「やがては、尿検査や妊娠検査薬のように、家庭でガンの検査がおこなえる安価な検査キットが出来ると見込んでいます。その実現のために、キットなどを試作できる態勢が必要です。そこでいま、ベンチャー企業の設立を視野に入れているところです」
今年1月、バイオ産業育成に力を入れる福岡県は、廣津氏の研究と、設立予定のベンチャー企業へ財政支援をおこなうことを決定。今年度予算に数百万円の関連費を盛り込むことを発表した。実現への大きな一歩に違いない。
(週刊FLASH 2016年2月9日号)