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「僕たちの夜の友達」ギャラで見る「AV」興亡史(2)

夜バナ 投稿日:2016.08.21 20:00FLASH編集部

「僕たちの夜の友達」ギャラで見る「AV」興亡史(2)

写真:AFLO

 

 ■スキャンダルの主役をAVに出演させた

 

 現役短大生だった松坂季実子は、ダイヤモンド映像専属女優としてデビューし、あどけない顔だちと巨乳で人気に火がついた。救世主の出現で同社は急成長。代々木上原の高級住宅街に本社ビルを構えた。

 

 スカウトマンが連れてきた女のコと面接する村西とおるは、気に入れば万札で作ったピラミッドを見せ、即決で専属女優とした。

 

 卑弥呼、小鳩美愛ら人気女優が続々現われダイヤモンド軍団を着々と築く一方で、村西は芸能界のスキャンダルにも目ざとかった。

 

 シングルレコードも発売したアイドルの桜樹ルイが、1990年に単体女優メーカーのVIPから『突然、炎のように』でAVデビュー。ギャラは破格の300万円といわれている。

 

 桜樹はすぐに村西とおるの目にとまり、同年ダイヤモンド映像に引き抜かれた。

 

 ダイヤモンド映像の専属女優のギャラは500万円とも600万円ともいわれたが、当時を知る業界人の話は違う。

 

「実際はもっと安い。1本100万円程度だったようです。村西監督は、作品内で女優と本番ファックをするわけですが、新人を専属にする際にマネージャーに対してストレートに、『愛人料込みで100万円でどうだ』とギャラを提示していました」

 

 やがて村西とおるは、通信衛星放送事業への投資で失敗し、ダイヤモンド映像は1992年に約45億円の負債をかかえて倒産してしまう。

 

 1990年には単体女優メーカーのh.m.pから白石ひとみが専属としてデビューする。清楚なマスクと艶やかな性表現でたちまちスターとなった。白石のギャラは、専属時代は200万円だったが、フリーになり400万円にアップ。そのギャラ価格は、単体女優ナンバーワンだ。

 

 白石はやがてフェードアウトするようにヌード業界を去り、一時期は大阪を拠点に芸能活動をしていた。数年後、白石作品を多くリリースしていたシャイ企画が復活のオファーを出した。

 

■復活作品の1本のギャラが1000万円を記録

 

 1995年の『復活 白石ひとみ』から始まる復活三部作のギャラは1本1000万円だった。これが単体女優の出演料の最高記録といっていいだろう。

 

 1989年にダイヤモンド映像からデビューした青木さえ子は、樹まり子と改名して一躍スターになった。当時は「大人っぽい単体女優は売れない」とされていたが、むっちりした肉体とハードな濡れ場をこなす性技のスキルは突出していた。

 

 1990年に引退するが、1992年に「樹マリ子」と一部改名して復帰する。その際、出演契約金は6本で3000万円と報じられた。

 

 日本のAV女優はアジア圏でも人気者だ。蒼井そらが第一人者と思われているが、先駆けは1995年にデビューした夕樹舞子だ。

 

 香港に招かれ、サイン会を含むイベントが開催されたが、あまりにも大勢が駆けつけたうえ、「サリン散布」のいやがらせ電話により警察も出動し、中止になった。

 

 夕樹と同じ日、俳優の千葉真一も香港を訪れていたが、当地の新聞の紙面は圧倒的に夕樹の来港のほうを大きく報じた。

 

 1995年は高橋がなりがソフト・オン・デマンドを設立し、レンタルからセルへとAVが変革する始まりとなる。

 

 2004年にデビューした同社専属女優の夏目ナナは、稼働4年間で累計100万本を売り上げる大記録を樹立した。  セルビデオでは1999年にデビューした長瀬愛の人気で制服、ブルマ、スクール水着の3点セットが売りのブルセラAVがジャンルとして定着し、堤さやかなどスターを輩出。

 

 彼女らメーカーに専属しないキカタン(企画単体)女優は、1本のギャラが30万~80万円だが、売れっ子になると数をこなせるので、月に1本しか撮影しないメーカー専属単体女優より、月収は多くなる。

 

 ちなみに、今も昔もプロダクションに支払われるギャラは、おおむね女優と折半する。ところが、まれに女優に3割しか払われないケースもあった。

 

 2000年に入ると、引退後にプロダクションやカフェを経営する早坂ひとみのような、転身をはかる単体女優も現われた。早坂の成功例を目標に、AVデビューする女のコも増えている。

 

 現在、製作費は下がっても、専属単体女優のギャラは200万~300万円と、ほとんど変わらない。下請けの制作会社を経営するベテランAV監督は言う。

 

「技術スタッフや男優のギャラは変わらない。監督の取り分を減らしてまかなっているというのが現状です」

 

 以上、ギャラの変遷を読んでいただいたが、その時代におけるAVの存在感が感じ取れたのではないだろうか。

 

構成・手塚和成 文・沢木毅彦

(FLASH+増刊号2015年5月5日より)

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