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日本全国の温泉「1日1カ所」行っても完全制覇まで58年!

連載 投稿日:2016.09.21 20:00FLASH編集部

日本全国の温泉「1日1カ所」行っても完全制覇まで58年!

写真:アフロスポーツ/アフロ

 

 シルバーウィークから初冬にかけての旅行は温泉に限る、そういう方が多いことだろう。本当に日本人は温泉が好きだ。いったい日本にはいくつの温泉があり、どのくらいの宿泊施設があるのか?

 

 環境省が2015年3月に発表した統計によれば、源泉の数は2万7367カ所である。このうち利用源泉数は1万7323カ所(自噴4142、動力1万3181)で、残りの1万44カ所(全体の36.7%)が未利用だ。

 

 温泉地(宿泊施設のある場所を指す)の数は3088カ所。一軒宿の温泉も1温泉地として数える。その所在地は1434の市町村におよぶ。全国の市町村数は1718(2014年4月現在:総務省)だから、約83%の市町村に温泉があることになる。日本中温泉だらけだ。

 

 さて、それでは温泉宿泊施設はどのくらいあるのか? 1万3278軒である。これとは別に日帰りの温泉浴場が7883軒。合計すると2万1161軒になる。仮に1日1カ所の施設を巡るとすると、巡り終わるまでに約58年かかることになる。

 

 温泉はたくさんあるが、温泉の何たるかはあまり知られていない。せっかくの温泉旅行を楽しむなら、温泉のことを知っておくのもいい。

 

 そもそも温泉の定義は「温泉法」(1948年制定)により「地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気、その他のガスで、摂氏25度以上、または指定の物質を少なくとも1種類含むもの」と決められている。

 

 そして、物質としてリチウムイオン、ストロンチウムイオン、水素イオンなど19種類を挙げ、規定値以上含むこととしている。これによれば、湧出していて(動力で汲み上げてもいい)、特定の物質さえ含まれていれば、冷たくても温泉になる。

 

 温泉といえば火山活動によってできるものと思いがちだが、マグマとは関係のない非火山性温泉もある。地下では100m下がるごとに2 ~ 3℃ずつ地温が上昇する。地表の温度を15℃とすると地下1500m地点では45~60℃になる。

 

 地下深くに溜まった雨水や海水は熱い湯になっている。それを汲み上げたものが非火山性温泉だ。火山のない平野部や盆地にある温泉、都心部などで増えたスーパー銭湯系の温泉がそうだ。

 

 温泉の泉質は単純温泉、二酸化炭素泉、塩化物泉、酸性泉、硫黄泉、放射能泉など大別して9種類ある。

 

 泉質によって温泉の効能も違い、人によっては逆効果になるものもある。たとえば酸性泉や硫黄泉はアトピー性皮膚炎には効くが、皮膚や粘膜の過敏な人には向かない。

 

 したがって温泉をゆっくり楽しみたいなら、前もって泉質と効能は調べておくべきだろう。

 

 温泉ファンには「源泉かけ流し」が人気だ。湧き出した状態の湯がそのまま浴槽に注がれ、あふれた湯を循環させない温泉のことである。贅沢だが、これが本来の温泉といえる。

 

 さて、2014年度に温泉施設に宿泊した人数である。環境省によれば延べ1億2797万4837人である。日本の総人口が1億2689万人(2015年8月1日現在の概算値:総務省)だから、延べ人数とはいえほぼ国民全員が温泉に1泊した計算になる。こんな温泉好きの民族は、世界中どこを探してもいないだろう。

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