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ドクターXを見ればわかる「大学病院」で紹介状が重要な理由

ライフFLASH編集部
記事投稿日:2016.11.14 12:00 最終更新日:2016.11.14 12:00

ドクターXを見ればわかる「大学病院」で紹介状が重要な理由

写真:AFLO

 

「X医大のY教授に診察してほしいんですけど、先生はコネありますか? じつは、母が肺ガンで……」

 

 という知人からの相談あり。

 

「最初の病院で紹介状をもらって大学病院に行けば? そのほうが安いし」と言うと、「いや、その先生はコネがないみたいで、Y生には書いてくれないんです。下っ端の先生宛で書かれちゃって……」とお悩みの様子だ。

 

 医大教授とは優れた医者がなるもので、その辺の開業医より腕は立つ――という認識は、じつは大きな間違いである。

 

 たしかに昭和期の「白い巨塔」時代には大学医局の頂点に立つ医師垂涎のポストだったが、新研修医制度の副作用でその輝きは鈍り、その旨味も薄くなった。

 

 近年では大学病院が中高年医師を安く確保するために教授ポストを粗製乱造し、その価値はデフレ傾向にある。

 

 大学病院において医者を選べるならば「35~50歳、講師~准教授クラス」を選んでおけばハズレが少ない。

 

 スポーツ選手に旬の年齢があるように、外科医にも旬があり、「卒業後10~25年(それ以降は体力・視力による)」がひとつの目安となり、肩書的には講師~准教授に相当する。次があるので、無茶な冒険をする者も少ない。

 

 放送中の『ドクターX』にあてはめるなら加地先生(勝村政信)や北野先生(滝藤賢一)に相当し、「主人公ほどじゃないけど、この人たちも悪くないよね」と思える先生方だ。

 

 教授の肩書を持つ医者の腕は、実際のところ当たりハズレが大きい。順天堂大の天野篤教授(※)のように、腕一本で勝ち残るタイプは外科系では増加中だが、大学病院全体としてはまだ少数派である。

 

 大学病院とは、典型的な日本型サラリーマン組織なので「ゴマすり+院内政治」「年功序列でなんとなく」タイプも、当然ながら実在する。

 

『ドクターX』の、蛭間院長(西田敏行)、久保副院長(泉ピン子)、西園寺(吉田鋼太郎)&黄川田部長(生瀬勝久)あたりに診察を受けるのは「ちょっと……」だろう。

 

 ちなみに『ドクターX』の舞台は「東帝大」というネーミングから、東大病院がモデルだと思うかもしれないが、東大教授といっても所詮は公務員。

 

 やたら校章や校歌をアピールして群れたがり、自校卒業生とそれ以外で態度を変え、プライドは高いが実力は? となると、東大よりむしろK大では……。

 

 紹介状の件に話を戻そう。

 

 大学病院には小さな病院で紹介状をもらってから行くべし、とはよく言われるが、「ハズレ医者を引かない」という意味でも紹介状は重要である。

 

 じつは近隣病院の先生も、誰が「ハズレ」なのか薄々は把握している。ヤバい医者からは、自分の患者を遠ざけたいものなのだ。

 

 というわけで、「教授の肩書にこだわらず、大学病院の内情を知る先生に紹介状をもらいなさい。それで指名された医師の外来受診を受けなさい」と、強くおすすめしたのだった。

 

※天野篤:心臓外科医。3浪して日大医学部に合格した「非エリート」から日本を代表する外科医となり、2012年には今上天皇の狭心症冠動脈バイパス手術を執刀した

 

●筒井冨美 Fumi Tsutsui
 1966年生まれ フリーランス麻酔科医 国立医大卒業後、米国留学、医大講師を経て2007年からフリーに。医療ドラマの制作にも関わり、『ドクターX』取材協力、『医師たちの恋愛事情』(フジテレビ系)医療アドバイザーを務める

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