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【数字は踊る】ギャンブルがやめられない
連載FLASH編集部
記事投稿日:2016.05.26 21:00 最終更新日:2016.05.26 21:00
●売上の低迷に悩む公営ギャンブル
サッカーの試合は、主審のコイントスから始まる。トスに勝ったチームが試合前半に攻めるゴールを決め、片方のチームが試合開始のキックオフをおこなう。コイントスといえば古典的なギャンブルのひとつだ。
現在、日本では各種宝くじ、サッカーくじ、中央・地方競馬、競艇、競輪、オートレースがギャンブルとして公認されている。なかでもギャンブルと聞いてイメージするのは、4種の公営競技(注:中央競馬を除くケースもある)だろう。
しかしこれらの公営競技は、売り上げと観客数の減少に頭を痛めている。中央競馬の2013年の勝馬投票券(馬券)収入は2兆4147億円。過去2年続けて前年比プラスとなったが、じつは2010年の2兆4391億円を下回っている。
しかも売り上げがピークだった1997年は不況ながら4兆6億6000万円という数字で、当時と比べると60%まで落ち込んでいる。売り上げ不振の原因について中央競馬会は可処分所得の減少やレジャーの多様化、少子高齢化などを挙げている。
そして、ただ手をこまねいて見ているわけではない。近年、中央競馬と地方競馬とのあいだで馬券の相互販売が拡大している。
2012年に中央競馬のインターネット投票システムから地方競馬の馬券を購入できるようになり、地方競馬においては2013 年の1日あたりの売得金(売上金)はすべての競馬場で前年増を記録した。
ほかの競技はどうか。競艇の売り上げは9429億円と前年比2.8%増だったが、ピーク時の2兆2137億円に比較すると43%と半分以下である。
競輪は前年比0.5%減の6063億円。これはピーク時の1兆9553 億円の31%であり、22年連続の減少となった。オートレースにいたっては688億円、ピーク時の3498億円に比較するとわずか 19.7%と落ち込みが激しい。
いずれの競技もピーク時はバブルの崩壊過程にあった1991年で、それ以降は厳しい状況がうかがえる。
●パチンコは12兆円の減少
11月14日はパチンコの日である。パチンコは老若男女を問わず日本人に最も親しまれているギャンブル(法律上は遊技)だろうが、このパチンコも不況の嵐に見舞われ、おちおちしていられない。
娯楽でありつつギャンブル性も高めたパチンコやパチスロ。日本生産性本部の「レジャー白書2014」などによれば、2013年の売上高は前年比1.3%減の18兆8180億円。
ピーク時(1995年)の30兆9000億円に比べると、この18年間で12兆円も減少。参加人口も2900万人から減りつづけ、2013年にはついに1000万人を割り込み、ピーク時の3分の1となる970 万人になってしまった。
ところで、2013年のパチンコ利用者の1人あたり1回の平均利用金額は2660円で、年間7万3200円になる。それを高いと思うか、そうでないと思うかは当人次第。もちろん利用額が、負けた額ということではない。
一方、マスコミで大々的に報道され、気になる人も多いであろうギャンブル依存症。厚生労働省研究班が8月に公表した調査結果(2013年7月実施)によれば、日本の成人の4.8%(男:8.7%、女:1.8%)、推計536 万人にギャンブル依存症の疑いがあるという。
調査年は国によって違うが、同じ方法でおこなわれた諸外国の調査結果ではオーストラリア(男:2.4%、女:1.2%)、米国(1.58%)、フランス(1.24%)、イギリス・韓国(0.8%)であり、日本の割合が突出している。
カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案は10月下旬、今国会成立が困難な情勢となった。カジノ法案の行方はともかく、ギャンブルは勝っても負けても、誰もが幸せに楽しめることが大切だ。
(週刊FLASH 2014年11月18日号)