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2つの山口組がヤクザ界の名門「会津小鉄会」で代理戦争

社会・政治 投稿日:2017.01.19 12:00FLASH編集部

2つの山口組がヤクザ界の名門「会津小鉄会」で代理戦争

 

「京都の会津小鉄会でクーデターが起こった。本部を六代目山口組の人間が占拠している」

 

 東京在住の暴力団関係者に、そんな衝撃的な情報が入ったのは、1月10日のことだった。

 

 会津小鉄会は、京都市に本部を置く指定暴力団。その歴史は江戸時代から続き、ヤクザ界では名門として知られる組織だ。現在の構成員は約140人とされる。その会津小鉄会で、分裂騒動が勃発したというのだ。

 

 10日付で全国のヤクザ組織に届いたFAXでは、六代目会津小鉄会・馬場美次会長名で、自身が引退し若頭の原田昇氏を跡目にすると宣言されていた)。

 

 ところがその直後、再び馬場会長からのFAXが届く。その内容は、原田氏を跡目にするという先ほどのFAXは自分の知るところではなく、よって原田氏を絶縁にするという内容だった。

 

 騒動の背景にあったのは、六代目山口組と神戸山口組の対立だ。会津小鉄会本部には、原田氏とともに六代目山口組側の組員が陣取った。

 

 しかしその後、原田氏らがいったん本部を出たところを見計らって、今度は馬場氏と神戸山口組側の組員が本部に乗り込み、籠城。本部周辺は一触即発の状態になり、京都府警の機動隊など約200人の捜査員が取り囲む事態になった。

 

 ヤクザ界に詳しいジャーナリストはこう話す。

 

「原田氏を担ぎ上げたのは、六代目山口組の中心、弘道会でした。馬場会長は神戸側の井上邦雄組長と兄弟分の関係だったため、昨年末、会津小鉄会が六代目山口組と関係を断ち、神戸側につくことにしたという情報が流れました。

 

 ところが、それをよく思わない原田氏が、六代目側と結託して馬場氏を降ろすことにしたのです。会津小鉄会を舞台に、六代目山口組と神戸山口組の『代理戦争』が勃発しているのです」

 

 結局、京都府警が間に立ち、会津小鉄会本部はしばらく閉鎖され、誰も立ち入ることができないことになった。1月14日現在も、本部周辺を捜査員が取り囲んでいる状態だ。

 

「もともと会津小鉄会は、馬場会長が六代目に就任する際、六代目山口組ナンバー2の高山清司若頭(※「高」は上下がつながる「はしごたか」)が後見人を務めるなど、六代目山口組とは親戚関係にあった。だが馬場会長が神戸側についたことで『後見人を裏切るのか』と不満を持つものが六代目山口組のなかに現れ、今回のクーデターにつながった可能性がある」(前出・暴力団関係者)

 

 2つの山口組が、会津小鉄会を味方につけようとするのには理由があった。

 

「会津小鉄会は名門というだけでなく、かつては博徒として財を成してきた組織。現在も京都府内のさまざまな利権に食い込んでいるといわれ、双方の山口組にとって、親戚関係を結びたい存在なのです」(前出・ジャーナリスト)

 

 13日深夜には神戸側の組員が、六代目山口組側についた会津小鉄会の組員に傷害を負わせたという情報もあった。山口組の分裂は、また新たな組織の分裂を生んだのである。

(週刊FLASH 2017年1月31日号)

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