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日本一の短命「青森県」ビッグデータで健康の秘密を解析!
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.02.19 12:00 最終更新日:2017.02.19 12:00
青森県には不名誉な記録がある。
厚生労働省が5年ごとに発表している「都道府県別にみた平均寿命の推移」で2000年、2005年、2010年のいずれも全国でワースト1位の短命県となっているのだ。
その状況を打破するため、県や大学などが一丸となってオール青森として取り組んでいる。1月中旬には、県が生命保険会社と県民の健康増進を図る包括連結協定を結んだばかりだ。その席上で青森県の三村申吾知事が「短命県返上、健康長寿県の実現に向け、一層の連携強化を図りたい」と話をした。
雪国の青森県では保存食が重宝されていたため、今でも塩辛い料理が好まれていることが短命の原因だと言われてきた。だが――。
「理由は、食事だけではありません。野沢菜漬けが有名な長野県は、日本で一番の長寿県ですからね」
そう教えてくれたのは、短命県返上の研究を行っている弘前大学COI(Center Of Innovation)研究推進機構の村下公一教授だ。
弘前大学COIは、文部科学省が推進する「革新的イノベーション創出プログラム」にも採択され、短命県返上のための研究を続けている。
青森県が短命である理由のひとつが「運動不足」だ。雪国なので、冬はどうしても家にこもりがち。「喫煙率」「多量飲酒者率」ともに高いことも知られていて、それらも原因だといわれている。
また、青森県では健康診断で「要再検査」の通知を受け取っても、「きっと大丈夫だろう」とやり過ごしてしまう人が多い。
「健康に対する意識、つまり個人の自覚もかなり影響していると思います」(村下教授)
そこで弘前大学COIでは、ヘルスリテラシーと呼ばれる健康に対する正しい知識と考え方を広く市民に知ってもらうための取り組みを行っている。
そして、なにが短命の原因なのかを膨大なデータから検証しようと、全国に先駆けて「健康ビッグデータの特徴と解析」を進めているのだ。
「安倍政権が推進している『三本の矢』の成長戦略の中に、予防・健康管理の推進に関する新たな仕組みづくりがあげられていて、国としても肝いりの研究テーマなのです」(村下教授)
高い評価を受けて、多くの企業が弘前に集結している。まさに日本一の短命県だからこそ始まった研究なのだ。青森県が始めた健康ビッグデータについて、次回以降、詳しく紹介していく。