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あと20年で花見ができなくなる!? 桜を襲う恐ろしい外来生物
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.03.13 17:00 最終更新日:2017.03.13 17:00
日本の春を彩る桜が、今までにないピンチに見舞われている。
中国や朝鮮半島を原産とする外来種のカミキリムシの被害が拡大しているのだ。
クビアカツヤカミキリが日本で最初に確認されたのは2012年のことで、場所は愛知県だった。その後、埼玉県や群馬県、東京都、大阪府、徳島県で被害が確認されている。
クビアカツヤカミキリは幼虫が桜や桃、梅、柿などの生木の内部で育ち、木を食べて育つ。1本の木に20~30匹の幼虫が潜んでいることもあり、寄生されると養分が行きわたらなくなって枯死することもある。
外来種のクビアカツヤカミキリが日本に入ってきた理由はよくわかっていないが、一説によると荷物を輸送する木製パレット(荷役台)の中に卵や幼虫が潜んでいたのではないかといわれている。現在のパレットは消毒されているが、一時期、海外製のものが消毒もされないまま入って来ていたのだ。
2013年7月にクビアカツヤカミキリが見つかった埼玉県草加市のくらし安全課の担当者に話を聞いた。
「春から秋にかけて幹の周りに木くずが出ると、幼虫が寄生している証拠です。市の職員や市民団体の方にご協力をいただいてパトロールを行っていますが、現状の対処方法は虫を見つけたら一匹ずつ潰していくだけです」
いまはまだクビアカツヤカミキリに適応する殺虫剤が日本にはないという。このままでは20~30年もすると、花見ができなくなるほど深刻なダメージを受けるのではないかと心配されている。
現在、農林水産省はクビアカツヤカミキリに効く殺虫剤の開発を急いでいる。それまでは、見つけたら地道に駆除していくしか方法はない。
「草加市で被害がわかってから、大阪府や徳島県などでもクビアカツヤカミキリが見つかりました。でも、これは草加市周辺にいたものが拡散したというよりは、似たような時期に海外から入ってきたものが、遅れて発見されたのではないかと考えられています。幸いなことに、草加市内ではクビアカツヤカミキリが増えているということはありません」(埼玉県草加市くらし安全課)
海外では農作物や畑で見つかることが多いクビアカツヤカミキリ。その場合は寄生された木を切り倒して被害を防ぐという。
しかし、日本では桜は特別に愛着を持たれており、簡単に切るわけにもいかないだろう。
被害が全国的に広がって花見に影響が出る前に、効果的な対策が生まれることを祈るばかりだ。