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【密着】防衛大学校「新入生女子」栄光の自衛官への道

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.07.07 19:00 最終更新日:2016.07.07 19:00

【密着】防衛大学校「新入生女子」栄光の自衛官への道

 

  防衛大学校(神奈川県横須賀市)卒業生は、幹部自衛官への道が約束されている。やがて国防の中枢を担う防大女子たちのスケジュールは分刻み!  入校後2カ月がたち、生活に馴染みはじめた新入生たちの勉学と訓練に明け暮れる一日を時系列で紹介しよう。

 

●起床 6:00

 

 ラッパの音で一斉に起床。わずか5分で寝具を片づけ、着替えをすませ、学生舎前に整列する。「高校時代はギリギリまで寝ていたので起きられるか不安でしたが、自然に目が覚めるようになりました」(齋藤慈子さん)

 

●日朝点呼・清掃・朝食 6:05〜

 

 朝と夕に点呼で人員確認をする。この後、乾布摩擦で目を覚ます。女子はTシャツを着用。学生舎の清掃後、各々朝食に。朝はパンかご飯が選べる。1日分の摂取カロリーは男女とも3400キロカロリー!

 

●国旗掲揚・課業行進 8:00〜

 

 各小隊ごとに分かれ、整列して朝礼。国旗掲揚と同時に『君が代』が流れ、国旗に向かって敬礼。その後、行進しながら授業のある各教室に向かう。旧陸軍時代から続く『抜刀隊』のメロディに合わせ、全校生徒約2000人が行進するさまは壮観だ。部隊行動の基礎を修得するのが目的

 

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●授業 8:30〜

 

 午前、午後とも4時限の授業がある。写真は「フランス語」 の授業風景だ。小テストが始まると、みな真剣にペンを走ら せていた。語学は英語のほか、独・仏・露・中国・朝鮮・ア ラビア・ポルトガル語から選ぶことができる

 

●授業 13:15〜

 

 空き時間にスマホを見せ合う学生の姿は一般の大学生と変わらない。この日の「人間学」の授業は、ギリシャ哲学のアリストテレスについての講義回。教養科目の一環だそうだ。訓練の疲れと昼食後の眠気で、短い空き時間に居眠りする学生もちらほら

 

●昼食 12:00〜

 

 2000名を収容できる食堂で学生全員が一斉に食事をとる。この日のメニューはご飯、鶏肉ごぼう煮、生野菜、かき揚げ、けんちん汁、キュウリのキムチ。ご飯にはビタミン強化米をまぜている。野菜は人気がないが、白菜のキムチは人気で、70kgが一食でなくなる。

 ちなみに、「おかわりをしないのが防大の伝統」だとか。足りない学生はあらかじめ山盛りご飯だ。いつも山盛りの藤野さんに好き嫌いを聞くと、「椎茸が苦手」とはにかんだ

 

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●夕食 18:15〜

 

 校友会活動の後は入浴だ。「シャワーではなく、湯船のお湯を使って体を洗うことに戸惑った」(稲村くるみさん)。その後は夕食だが、くつろぐ暇はなく、みな5分ほどでかきこむ

 

●校友会活動 16:30ごろ

 

 武田さんは銃剣道初心者だが「鍛えられて構えがさまになってきた」(教官)。「豊かな人間性を培う」という理念の実現のため、防大では校友会活動という名の部活が盛ん。37の運動部と11の文化部があるが、運動部への入会は義務

 

●日夕点呼 19:35〜

 

 夕方にも点呼があり、学生たちが自主的に清掃をおこなう。人数確認や身のまわりの整理は自衛隊生活の基本だという。学生たちはすり足で移動しながら、「カーリング」のように床を猛スピードで掃き、雑巾で熱心に床を磨いていた

 

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●自習・就寝 19:45〜

 

 点呼がすみ連絡事項が伝えられると、各自自習室で予習・復習。自習中は食事禁止だ。工藤萌さんは恥ずかしそうにポルトガル語のテキストを見せてくれた。消灯時間は22時30分だが、必要があれば24時まで延ばすことができる

 

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 最近まで高校生だった彼女たちは、休日には年相応の「女のコ」に戻る。

 

「休日はカラオケでアニソン(アニメソング)を歌います!」(山下真澄さん)

 

 素顔はどこにでもいそうな女のコたちが、なぜ防大を志したのか。

 

「将来、護衛艦に乗って世界で活躍したい。自衛隊初の女性艦長が誕生したというニュースを見て、『これしかない』と憧れるようになった」(藤野未有さん)

 

「いまは平和でも、将来何かが起きたときに、国家を護るために防衛学を学びたいと思いました」(山下さん)  

 

 東日本大震災で、復旧のために奮闘する自衛官の姿に感動したのがきっかけという学生も多い。

 

「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め……」

 

 自衛隊員が任官時に求められる「服務の宣誓」だ。安保法制、緊迫する東アジア情勢。万が一の事態が起きたとき、彼女たちに現場に赴く覚悟があるかを聞いてみた。

 

「命令が下れば……。でも、まだ実感が湧かないので、無責任なことは言えません」(古賀彩さん)

 

――ところで、恋人はいますか?

 

 記者の質問に、「みんな、いませ~ん」と即座に答えた。「防ジョ」たちは今日も分刻みのスケジュールで鍛錬する。よく学び、よく食べる日々。当分は“花より団子”が似合う。

 

(週刊FLASH 2016年6月28日号)

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