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【大相撲職人たちの匠の技】土俵は「呼出し」が作っていた!
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2016.03.17 21:00 最終更新日:2016.03.17 21:00
呼出しといえば取組の際、扇子を広げ力士を呼び上げる姿が思い浮かぶが、「あれは仕事のうちのほんの一部。大半は裏方」と弘行さん(37歳、峰崎部屋)は言う。
「土俵造りとその整備管理、土俵周りでの塩や水の補給、力士に水を付け、タオルを渡すといった進行の補佐。寄せ太鼓(本場所の朝)や、はね太鼓(全取組終了後)を叩き、懸賞旗を持ち、土俵入りの拍子木を入れるのも役目です」
土俵は年6回の場所ごとに造り替えられる。各部屋の稽古土俵も場所ごとに造り直し、業先の土俵もそのたびに造られるという。
「本場所では40人以上の呼出しが、総出で3日間かけて造ります。ちなみに国技館で使っているのは、粘度が強い荒川の荒木田土。足が滑るとか軟らかいとか、力士からの注文も多いので気を遣います。たまに、『今日の土俵はよかったよ』と言われると嬉しいものです」
格付けは序ノ口から始まり、最高位は立呼出(たてよびだし)。基本は年功序列。定員は45名(現在44名在籍)、定年は65歳だ。
22年前にこの道に入った弘行さんは、現在十両格。
「青森出身で中学では相撲部。体が小さく力士にはなれなかったけど、相撲が好きで、父の知人だった親方に頼んで呼出しになりました。呼出しは、土俵に上がって呼び上げる以外はあくまで黒子。
主役は力士で、お客さんの目が自然と力士に行くような、力士が取組に集中できるような動きを心がけています。とにかくスムーズに、目立たないこと。それができれば、いい呼出しといえるんじゃないでしょうか」
(週刊FLASH 2015年11月24日号)