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【6期生デビュー10周年企画③】SKE48を裏で支える竹内彩姫「6期生はビジネスパートナー」

AKB・坂道FLASH編集部
記事投稿日:2023.03.31 21:02 最終更新日:2023.03.31 21:02

【6期生デビュー10周年企画③】SKE48を裏で支える竹内彩姫「6期生はビジネスパートナー」

デビューから10周年を迎えたSKE48の6期生メンバー。3月には記念ライブも開かれた。その陰には“裏方”に回ったかつての同期・竹内彩姫さんの支えもあった。運営スタッフとして第二のキャリアを進む竹内さんと、今もなお表舞台で脚光を浴びる6人のストーリー。その第3回。(取材&文・伏見学)

 

昨日まで現役アイドルだったコが、翌日には会社勤めをする。いい意味で波のなかった竹内さんの人生において、珍しく突風が吹いたようだった。

 

新人研修でビジネスマナーなどを学び、メディアリレーションズ&キャスティング部に配属された。冒頭でふれたように、現在は媒体チェックを中心とした広報業務と、アーティストの売り込みという営業業務がメインだ。プレスリリースは竹内さん自身が一から書き上げている。

 

社会人としてはまだ半人前だと謙遜するが、アイドル時代に培ったスキルを仕事で十二分に発揮している。そのひとつが「コミュニケーション力」である。

 

「年の離れた企業の上役の方にも仲良くしていただいて。同僚などによく言われるのは、『すぐに人の懐に入ったり、当たり前のように場を盛り上げたり。新人社員でそれをできるのはすごいよ』と」

 

それがきっかけで、SKE48以外のタレントを売り出すことにもつながるなど、成果は出ている。かつて握手会などで幅広い世代を相手に、しかも数百人、数千人と話してきたからこそ、物怖じすることがなくなったと竹内さんは言う。

 

もうひとつの強みは「アイドル目線」。先に青木さんが述べていたように、自分がアイドルだったからこそ、当事者の気持ちがよくわかる。たとえば、メンバーのチャームポイントなどを把握していて、どうすればもっと輝くかをスタッフなどに提案する。

 

竹内さんに助けられているメンバーは多い。日高さんは「アイドルって、それぞれこだわりがあるんですけど、彩姫はそれをわかっていて、このコはこういうのが好き、この角度が好き、というのを尊重してくれます。これまでは、『なんでこんな写り悪い写真を選んだのだろう?』とか思ったこともあったんですけど(笑)、彩姫が担当するようになってからはなくなりました。本当にありがたいです」と喜ぶ。

 

熊崎さんも同調する。

 

「メンバーの気持ちを誰よりも理解してくれる。撮影のときに立ち位置とかあるじゃないですか。あなたはこっち側の顔が好きだよねと、全部わかってるんですよ。さきぽんは『くまは左側の顔が好きだから、メインの写真は左側を選んどいたよ』といった報告をしてくれます」

 

未練や後悔はある

 

アイドルを卒業してからまもなく2年になるが、竹内さんは生き生きと働き、充実した毎日を過ごしている。このことに偽りはないだろう。しかし、取材を進めていく中で、初めて後悔の念を口にした。

 

「これは今まで誰にも言ったことなかったんですけど…」と前置きした上で、竹内さんは吐露した。

 

「卒業したときは、もう悔いなんて一切ない、すっきりした気持ちでした。卒業公演も涙の一滴も出ずに、『楽しかった!』と言って終わったんですけど、就職してから、もし私が今も現役だったらこうしたのにとか、この新曲の衣装、自分だったらどれになっていたかなとか、どんどん出てくるんです。たとえば、発売されたシングルで踊れない曲があることが、なんか悔しいというか。やめているから当たり前なんですけど。声に出したらやめたことを後悔しそうで、一回も人に言ったことはなかったです。こないだTeamKⅡの新公演が始まって、あと2年いたら、私はきっと新公演に出られていたなと考えたり。自分自身との葛藤はあります」

 

素直に胸の内を明かしてくれた竹内さん。私にだって未練や後悔はあるーー。だからこそ、現役メンバーにはやり切ってほしいと強く願う。運営スタッフになって以降、メンバーから卒業やキャリアに関する相談が寄せられるようになった。その数は数件レベルではないという。

 

「皆に言っているのは、少しでもやり残したこと、未練があるなら、今はまだ卒業するべきじゃないと思うし、卒業したら今当たり前にある場所には絶対に戻れないからねと。そう伝えると、『彩姫さんが言うと重みが違いますね。もっと真剣に考えてみます』って」

 

竹内さんはひと呼吸置いて、こう続ける。

 

「今辛いからやめるというコを、やっぱりなくしたくて。そうやって卒業したメンバーを見てきたから。皆が満足して、やり切ったという状態で、セカンドキャリアに向けて進んでほしい。もう戻れないよっていうのは、現役のコたちには常に伝えていますね」

 

メンバーが充実した活動ができるよう、達成感を得られるよう、全力で支えるのが自分の役目だ。そういう信念を持って竹内さんは仕事に向き合っている。とりわけ同期のメンバーには最後まで走り抜けてもらいたい。

 

「皆が頑張っているから、私も頑張れる。そういう存在が、まだ現役で6人もいることって奇跡だなと。できることならずっといてほしいなと思う、大切な6人です」

 

その6人が今なお頑張り続けられる理由。それはこの年間のさまざまな経験が糧になっている。青木さんにとって忘れられないのは、研究生時代の「アップカミング公演」である。

 

喜びや悔しさを成長の糧に

 

「(’14年2月の「AKB48グループ大組閣祭り」で)一緒に入った同期のコたちが、昇格する組と、研究生に残る組とに分かれちゃって。しかも当時はいろいろな理由で研究生公演ができないという、お先真っ暗な時期にいただいた公演です。それも季節ごとにセットリストも変えてもらったり、大きいライブ会場でも披露させてもらったり。自分にとっては、成長する大切な期間だったなと思います。ファンの方も注目してくれましたし、何なら昇格したメンバーも羨ましがるくらい」

 

かたや昇格組の北野さんもこのことは鮮明に覚えている。

 

「昇格して、チーム公演とか、いろいろとやっていたんですけど、たくさんの経験をしてきた先輩たちが大勢いて、その中に急にポンと入ったので、研究生の頃にできていたことができなくなったり、先輩がいるからなかなか前に出ることができなかったり…。スタッフさんにも心配されるくらい埋もれてしまって。でも、昇格しなかった人たちは、研究生だけで公演をやっていて、そっちの方が輝いて見えました。本来なら昇格できた方が嬉しいし、活躍できるはずなのに」

 

でも、その悔しさをバネに奮起した。一緒に昇格した日高さんとお互い悩みを打ち明けながら、自分たちにできることを精一杯やろうと腹を括った。レッスンにもいっそう熱が入った。

 

その他のメンバーも、喜びや悔いなど、いくつもの感情が入り混じった10年を過ごした。ただ、それが人間としての成長につながったのは確かだし、今もステージに立ち続ける原動力にもなっている。

 

( FLASHスペシャルグラビアBEST 2023年春号 )

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