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STU48キャプテン・今村美月「キャリアが逆効果に…」“技術”より”個性”の世界で生きる【特別インタビュー②】

AKB・坂道 投稿日:2023.06.03 21:00FLASH編集部

STU48キャプテン・今村美月「キャリアが逆効果に…」“技術”より”個性”の世界で生きる【特別インタビュー②】

養成所で鍛錬を繰り返し、ようやくアイドルのスタートラインに。しかし、その技術が思わぬところで「足かせ」に…。葛藤を抱えながら活動を続ける彼女が考える「アイドル像」「リーダー像」に迫る。その第2回。

 

(取材・文 伏見学)

 

磨き上げてきたスキルが逆効果に

 

アイドルのキャリアをまっとうする覚悟を決め、見事に夢を叶えた今村さんは、ASHで身に付けたスキルを存分に発揮しようと、意気揚々と新たな世界のスタートラインに立った。

 

ところが、出鼻をくじかれるような“事件”が起きる。STU48に入ったばかりの頃、ある人から投げかけられた言葉を、今村さんは今でも忘れない。「48はメンバーの成長過程をファンが楽しむグループだから、君には合ってないよね」

 

ほかのメンバーよりダンスなどのパフォーマンスが頭ひとつ抜きん出ていた今村さんに対して、そうした指摘をした人がいたのだ。今村さんは傷ついた。「この世界で歌って踊ることを目指して、スクールで8年間も頑張ってきたのに…。そんなことを言われてもどうしようもなくて、悲しかったです」

 

それだけではなかった。グループはダンスなどのパフォーマンスよりも個性を求められることが多いと痛感した。

 

「スクールは主に歌やダンスを見られる場だったのですが、STU48に入ってからは、個人のキャラが大事なんだなと思って。自分がどんなキャラなのかがわからなかったので、とても難しかったですね」

 

これだけが理由ではないが、STU48初のオリジナル曲である『瀬戸内の声』では、選抜メンバーに入ることができなかった。自分が思い描いていた理想のイメージとは違う。今村さんは戸惑った。

 

しかし、ここでへこたれないのが今村さんの真骨頂だ。選抜入りという明確な目標ができ、それだけに集中した。そして、1stシングル『暗闇』で選抜入りを果たす。

 

正義は一つではなかった

 

「自分が長年磨いてきたパフォーマンスは間違いではなかった」。そう安心したのも束の間。今度はレベルの差が浮き彫りになってしまった。

 

「私はずっと歌とダンスをやっていたから、レッスンとかでも覚えが早かったりしたんですけど、そうではない子は慣れてないので…うーん、これは仕方がないことですし。もちろん、経験していたからこそ、人一倍、何かをできるようにとか、前で踊れるようにとか、経験者として、負けたくないという気持ちはありました」

 

「スクール生のときはダンスが全員そろっていることが正義だと思っていました。ここの角度はこうじゃないと駄目だとか、ここは首をつける、つけないとか、事細かくみんなでそろえていたので、(STU48に入って)何回言ってもそろわないときには『なんで…』と思うこともありました」

 

またしても今村さんは経験が逆効果になってしまうことに悶々とした。ただ、グループというアイドルに求められるものを咀嚼していくうちに、必ずしも自分がやってきたことだけが正義ではないと気づき始めた。

 

「大人数ということもありますし、アイドルのダンスはそろっているからいいというわけでもないので。今でもここの角度だけはそろえようというのはありますけど、全部をギチギチに決めることはあまりないですね。あとは、応援してくださっている方って、推しメンが目線のセンターにあるので、ダンスがそろっているとそれが見えなくなっちゃうこともある。程よくそろえつつ、メンバーそれぞれの踊り方や個性を残すようにしています」 

 

今村さんがこのように意識を切り替えるまでに、どれくらいの時間がかかったのか。

 

「いやー、徐々、徐々、徐々、徐々にですよ。この6年間で段階的に意識が変わってきました」と苦笑する。

 

岡田奈々さんも教えを請う「先生」

 

ただ、けっして今村さんが一人浮いていたわけでなかった。メンバーたちも上達するために必死に取り組み、積極的に今村さんにアドバイスを求めた。それが今村さんは嬉しかった。「じつはSTU48のオーディションのときから席の近い子たちに教えたりしていました。ずっと教える側ですね。最近でもレッスン場に集まって一緒に自主練をしたり、『ダンス動画を撮らせて』と言われたり」

 

STU48の初代キャプテンだった岡田奈々さんからも「先生」と呼ばれていた。そんな今村さんを慕っているメンバーの一人が、同じ1期生の兵頭葵さんだ。兵頭さんについてこんなエピソードを明かしてくれた。

 

「葵ちゃんは、私と石田千穂ちゃんのダンスが好きだと言ってくれて。直接教えたわけではないけど、ずっと私のダンスを見て、真似してくれていたからか、私が好きな踊り方をするんですよ(笑)。本当にダンスが上手になりました。最近はその上手さがどんどん知れわたってきて、嬉しく思っています。こないだは公演を見たファンの人が葵ちゃんのパフォーマンスを褒めてくれて、そこからお話し会にも来てくれるようになったと言っていました」

 

もともと気遣いの人ではあったが、今村さんがさらに他人の気持ちを慮るようになったのは、キャプテンになったことが大きい。

 

【特別インタビュー③】につづくー。




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