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岩井秀人「もう俳優はいいや」阿部サダヲとの舞台共演が転機

エンタメ・アイドル 投稿日:2020.05.15 06:00FLASH編集部

 

岩井秀人「もう俳優はいいや」阿部サダヲとの舞台共演が転機

ハイバイの旗揚げ公演『ヒッキー・カンクーントルネード』打ち上げにて

 

 岩井は、2003年に劇団「ハイバイ」を立ち上げた。作品の題材の多くは、ひきこもり経験など、自身の実体験だ。

 

 登場人物の自意識過剰さは観ていてつらいほどなのに、同時に、つい笑ってしまう。「えーっと」「うーん」など、つい漏れる言い淀みも大切にした。

 

「飲めなかったので、ハンバーガー屋で昼打ち上げをやっていましたね。そのあと、小金井公園で鬼ごっこをするっていう。あれは最高でした(笑)」

 

 観客は、順調に増えていった。岩井は、主要な脚本の賞を続けて受賞し、10周年ツアーでは、6都市で5500人を動員した。やがて、岩井は演劇以外の世界に呼ばれるようになる。

 

「本広克行監督の映画『曲がれ!スプーン』(2009年)が最初。そこから、『ゴッドタン』(テレビ東京系)とかに、ちょこちょこ出ていました。オーディションも受けていましたね。当時は、『自分がやりたいことは俳優だ』と思っていたんで」

 

 演劇界以外でも、俳優として知名度を急上昇させてきた時期を、岩井は過去のこととして振り返る。

 

「ここ4年くらいで、演じることへのモチベーションが、だいぶなくなったんです。とくに、2019年に再演された『キレイ』(大人計画、作&演出・松尾スズキ)に出られちゃったことが、すごく大きくて。

 

 阿部サダヲさんや皆川猿時さん、と一緒の舞台に立てるなんて……。先天的にできる人のレベルを思い知らされて、『もう、俳優はいいや』って(笑)」

 

 代わって、いま力を入れているのが、俳優が初見の台本を読み合わせる企画「いきなり本読み!」。2月に開催された第1回には神木隆之介・皆川猿時らが出演し、台本を手渡されるや、即座に個性的なキャラを演じてみせ、俳優の底力を知らしめた。

 

「お客さんに、俳優のおもしろさや、稽古場の空気を知ってもらいたくて。それに、この企画なら、1日スケジュールが空いていれば、どんな俳優さんでも集められる。スピーディにおもしろいことだけを抽出できる感じがするんです」

 

「演出家とのやり取りや、試行錯誤の様子を知れば、舞台をさらに深く楽しめる」と語る岩井。いまは演劇を大好きになってもらうことで頭がいっぱいだ。

 

いわいひでと
1974年6月25日生まれ 東京都出身 16歳から20歳までをひきこもって過ごす。2003年、劇団「ハイバイ」を旗揚げ。2012年に『生むと生まれるそれからのこと』の脚本で向田邦子賞を、2013年に『ある女』で岸田國士戯曲賞を受賞。2019年、NHK大河ドラマ『いだてん』に出演。現在はプロデュース企画「いきなり本読み!」に注力

 

【SHOP DATA/デニーズ 小金井本町店】
・住所/東京都小金井市本町5-38-36
・営業時間/当面のあいだ7:00~20:00(通常時は24時間営業)
・休み/無休

 

(週刊FLASH 2020年5月5日号)

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