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温水洋一、芸人扱いされる葛藤を救った「浜田雅功」の言葉

エンタメ・アイドル 投稿日:2020.05.16 06:00FLASH編集部

温水洋一、芸人扱いされる葛藤を救った「浜田雅功」の言葉

25歳当時、「王将」バイトの休憩時間中

 

 顔も名前も浸透し、ドラマや映画の仕事も急激に増えた。

 

「オファーが増えたのは、『温水は、番宣でバラエティにも出てくれる』みたいな計算が、配役担当者にあったのかもしれません。僕も、映画やドラマのほかに、番宣の仕事もいただけるので、正直ありがたかったです(笑)」

 

 数えきれない出演作から、印象に残る仕事を聞いた。

 

「2018年に亡くなった江波杏子さんと、新国立劇場で共演させていただいた『ご臨終』(作・モーリス・パニッチ、演出・ノゾエ征爾、2014年)は忘れられないですね。

 

 大きな劇場で二人舞台。江波さんは死を目前にした病人の役で、ほとんど僕しかしゃべっていない(笑)。『こんな量の台詞を覚えるのは無理だろう』と思いながら、毎日必死で取り組んでいたので、印象に残っています」

 

 どんな作品でも、温水は台詞をなるべく完全に覚えてから、現場に入る。

 

「僕、家ではまったく台詞を覚えられないんです。駒沢公園を何周も歩きながらだったり、ガヤガヤしたチェーン店の中だったりしたほうが、逆に集中できるんです。

 

 そうやって台本を(頭に)入れたあと、『餃子の王将』のような店に入って、餃子とニラレバ炒めを頼んで、お酒をサクッと飲んで早めに帰る。毎日、そんな感じですね」

 

 芸歴は32年になる。2017年には、演劇界の権威ある賞である「第52回紀伊國屋演劇賞個人賞」を受賞。2019年には、「小劇場出身ゆえに敬遠してきた」という、明治座での大衆演劇にも挑んだ。

 

 下北沢から引っ越してからも、長い時間がたった。

 

「下北沢は、僕にとっての “登竜門” でした。25歳のとき、僕も早く『スズナリ』や『本多劇場』の舞台に立ちたいと思っていました。懐かしさもあるけど、今でも、この街の劇場の舞台に立ちたいと思っています。いつも存在を意識している場所ですね」

 

 下積み時代、週に5~6回働いた店があった街。優しかった当時の店長は、お金のなかった温水に、余った餃子を持たせてくれた。そんな「餃子の王将」の制服に、温水は30年ぶりに袖を通した。

 

「いやあ、懐かしいなあ。この店にも、ライスを借りにきたことがあったんです。本当に懐かしい」

 

 下北沢、ニラレバ炒め、演劇。すべてを愛した男の笑顔があった。


ぬくみずよういち
1964年6月19日生まれ 宮崎県出身 1988年より劇団「大人計画」に参加し、さまざまな小劇場に出演。1994年退団。80本以上の映画に出演するかたわら、バラエティ番組でも注目を集め、『ぶらぶらサタデー・タカトシ温水の路線バスの旅』(フジテレビ系)は、放送13年めに突入。2017年には、舞台『管理人』(作・ハロルド・ピンター、演出・森新太郎)で「第52回紀伊國屋演劇賞個人賞」を受賞

 

【SHOP DATA/餃子の王将 下北沢店】
・住所/東京都世田谷区代沢5-36-16
・営業時間/11:30~22:00(20:00~22:00はテイクアウトのみ)※短縮営業中
・休み/なし

 

(週刊FLASH 2020年5月12・19日号)

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