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名曲散歩/小比類巻かほる『HOLD ON ME』裏方から突然デビュー
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.05.23 16:00 最終更新日:2020.05.23 16:00
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロは、小比類巻かほるの『HOLD ON ME』。日本人離れしたパワフルボイスがいいよねえ!
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マスター:1987年、日本テレビのドラマ『結婚物語』の主題歌なんだよね。主演は沢口靖子と陣内孝則だった。
お客さん:ドラマの中身は覚えてないけど、歌は強烈に印象に残っているね。
マスター:小比類巻かほるの経歴はちょっと変わってるんだ。もともと彼女は裏方志向で、高校生のときにレコーディングスタジオでアルバイトしていたんだよね。
お客さん:雑用とかそういうやつ?
マスター:いや、レコーディングエンジニアとしてだよ。音を作るのが好きだったんだって。
お客さん:そこから、どうやってシンガーになったの?
マスター:あるとき、スタジオの関係者から、仮歌を録音してほしいって頼まれたんだって。で、その歌を聞いたスタジオのオーナーが、「こりゃすごい!」と。デモテープに写真を添えて業界に流したら、レコード会社の人の目にとまって、スターへの道が開けたんだ。
お客さん:どこに才能が眠っているか、わからないね。
マスター:ただ、デビューアルバム、セカンドアルバムはスマッシュヒットとならず、もし3枚目のアルバムが不発だったら引退しなければならない崖っぷちまで追い詰められていたんだって。
お客さん:その3枚目のアルバムに入っていたのが『HOLD ON ME』だったと!
マスター:そういうこと。そこから『City Hunter~愛よ消えないで~』『Together』『DREAMER』など、ヒットを連発してゆくんだよね。ちなみに、ロサンゼルスにレコーディングに行ったとき、スタジオにソニーの最新機材があったんだけど、向こうのエンジニアから「使い方を教えてくれ」って頼まれたというエピソードもあるよ。
お客さん:根っからの機械好きだったんだね。
おっ、次の曲は……。
文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中(※現在はコロナの影響で当面の間お休み)
参考:TOKYOMX『ミュージック・モア』(2020年5月14日)