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名曲散歩/早見優『夏色のナンシー』英語がおかしいと訂正させた
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.06.07 16:00 最終更新日:2020.06.07 16:00
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロは、早見優の『夏色のナンシー』。熱海生まれのハワイ育ち、帰国子女という言葉をこのとき初めて知ったなあ。
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マスター:バイリンガルという言葉もね。
お客さん:早見優といえば、キョンキョン、堀ちえみ、三田寛子、石川秀美、中森明菜など、そうそうたる顔ぶれの「花の82年組」の1人だよね。
マスター:『夏色のナンシー』は1983年4月にリリースされた5枚目のシングルで、本人にとっては待ち望んだ、明るい曲だったという。
お客さん:デビュー曲の『急いで!初恋』以降は、大人っぽいバラード調の曲が多かったからね。
マスター:タイトルは、彼女のハワイでのニックネームに合わせて、『夏色のキャッシー』案もあったというけど、語呂が悪いよね。
お役さん:確かに。
マスター:グアムとハワイで10年ほど暮らしていたから、思考がアメリカナイズで、レコーディングのときもしっかり自己主張したそうだよ。たとえば、間奏で流れるコーラスの英語が、文法的に納得いかず、ディレクターに頼んで変えさせてもらったとかね。
お客さん:『夏色のナンシー』はコカ・コーラのCMソングに起用され、早見優の健康的なイメージが定着したよね。
マスター:あのCMはハワイでロケしたんだよね。ビーチでの水着姿、ショートパンツでローラースケート、当時、僕らが憧れたアメリカに違和感なく溶け込んでいたよなぁ。
お客さん:この曲で初めてオリコンランキングのトップ10に入り、『ザ・ベストテン』にも出た。
マスター:ちなみに、1982年の「日本レコード大賞」新人賞に、早見優は3曲目の『アンサーソングは哀愁』でノミネートされたんだけど、ほかに、石川秀美、シブがき隊、堀ちえみ、松本伊代の4組が選ばれ、キョンキョンと中森明菜は落選した。
お客さん:改めて、すごいメンツだったんだねぇ。
おっ、次の曲は……。
文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中
参考:『朝日新聞』(2016年12月3日)/『昭和40年男 Vol.56』(クレタパブリッシング)