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名曲散歩/柏原芳恵『ハロー・グッバイ』紅茶のおいしい喫茶店は実在
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.07.12 16:00 最終更新日:2020.07.12 16:00
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロは柏原芳恵の『ハロー・グッバイ』、思わず紅茶が飲みたくなるんだよねぇ。
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マスター:柏原芳恵といえば、松田聖子、河合奈保子、岩崎良美などと同じ1980年デビュー組で、この頃は平仮名の「よしえ」だった。
お客さん:1982年が豊作といわれているけど、この年もすごかったね。田原俊彦や三原順子(現在は三原じゅん子)もそうだよね。
マスター:柏原芳恵の『ハロー・グッバイ』は7枚目のシングルで、初めてオリコントップ10入りした曲だ。ところで、歌詞にある「紅茶のおいしい喫茶店」が実在するって知ってる?
お客さん:どこだろう? 渋谷? 原宿? それとも吉祥寺?
マスター:いや、大分なんだ。
お客さん:おおいた? また、ずいぶんローカルな……。
マスター:南こうせつのお兄さんが大分市で経営していた喫茶店で、作詞家の喜多條忠(きたじょうまこと)がその店で書き上げたといわれている。
お客さん:喜多條忠といえば、南こうせつとの縁が深いもんね。『神田川』『赤ちょうちん』『妹』など、かぐや姫の代表曲を片っ端から書いた人だよね。
マスター:いまは閉じてしまったんだけど、その店で使われていた白いカップには実際に「HELLO」、ソーサーには「GOOD-BYE」の文字が書かれていたんだよ。そんな『ハロー・グッバイ』だけど、実は柏原芳恵に向けて書かれたものではないんだ。
お客さん:そうなの?
マスター:一番最初に歌ったのはアグネス・チャン。1975年『冬の日の帰り道』のB面に収録された曲で、そのときのタイトルは『ハロー・グッドバイ』だった。その後、讃岐裕子という歌手がカバーしたとき『ハロー・グッバイ』に改題して、さらに柏原芳恵に続いたんだ。
お客さん:名曲だからこそ歌い継がれ、そして名曲だからこそ、どこかで日の目を見るんだね。
おっ、次の曲は……。
文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中
参考:TOKYOMX『ミュージック・モア』(2020年7月3日)/テレビ朝日『徹子の部屋』(2016年12月12日)/『語れ!80年代アイドル』(KKベストセラーズ)