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モト冬樹に片岡鶴太郎…志村けんさんは「カツラで喜劇俳優に変身」

エンタメ・アイドル 投稿日:2020.07.16 06:00FLASH編集部

モト冬樹に片岡鶴太郎…志村けんさんは「カツラで喜劇俳優に変身」

1992年の本誌密着時。自身の番組を食い入るように見ていた志村さん

 

「あの人が最後だよ、『喜劇俳優』を守っていたのは。昔はいっぱいいたけど、もう世の中的に無理だと思うな……」

 

 そう語るのは、志村けんさん(享年70)と公私ともに親しかったモト冬樹(69)だ。

 

 志村さんが逝ってから、7月7日で100日。あらためて、「喜劇王」の偉大さに感じ入っている人は多い。小中学校で同級生だった岸田正さんは、「昔から才能が光っていました」と振り返る。

 

 

「『お笑いの道に行くんだろうな』と思っていましたよ。高校卒業と同時に付き人になったし、中学生のころから、笑いに関する知識が豊富でした。『コント55号』のものまねをして、大ウケしたこともあったしね」

 

 ドリフターズの付き人だった下積み時代に、「マックボンボン」というコンビを組んでいた志村さん。彼らに前座を務めてもらっていた小柳ルミ子(68)は、当時見た “求道者” の姿を、いまも鮮明に覚えている。

 

「舞台袖に帰ると、いつも(相方と)真剣に討論をしていました。けんちゃんは、相手にも高いレベルを求めていたので、ある日、相方が突然いなくなっちゃって……。笑いに関してはものすごくストイックな人。そのころから、『けんちゃんは、そのうちドリフの正式メンバーに昇格する』と確信していました」

 

 志村さんがドリフで天下を取ったあとの1989年に弟子入りし、現在はウェブ開発会社「ハーシー」CEOの橋本真由美氏(51)は、「努力を重ねる姿に目を見張った」と述懐する。

 

「事務所に専用ビデオルームがあり、出演番組だけでなく、邦画や洋画、海外ドラマまで、ビデオテープが数千本も積み上げられていました。

 

 志村さんから言われたのは、『いろんな作品を観て、自分のものにしないといけないよ。それが、発想力の源になっていくんだから』ということでした」

 

『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』(TBS系)の放送作家で、江戸川大学教授の西条昇氏も、こう話す。

 

「六本木の輸入レコード店で、ブラックミュージックのレコードと一緒に、海外の喜劇映画などを取り寄せていました。『どんなに遅くまでお酒を飲んで帰っても、ビデオを見るんだ』と仰っていました」

 

 2020年、70代にして「俳優」という新境地に向かっていた志村さん。片岡鶴太郎(65)は、30年前にした、こんな会話を思い出してくれた。

 

「俺がふと『志村さんはドラマとか、やんないんですか?』って聞いたら、じつは『いや、俺はあんまり……嫌なんだよね』なんて。

 

 それが、亡くなる直前に(朝ドラの)『エール』に出ることになってね。だから、なんで役者のほうにいってみようと思ったのかって、そのあたりのことを聞いてみたかったです」

 

 志村さんのなかでは、「喜劇俳優」と「俳優」は明確に違うものだったようだ。それを示すようなエピソードを、ドリフの元付き人でコメディアンの松田ひろし氏が話してくれた。

 

「コスチュームをつけないと、しゃべれない人なんです。カツラをかぶったりすると、饒舌になる。『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)で着ていたオーバーオールも、“動物たちのお父さん” という、志村さんなりのコスチュームだったと思うんです」

 

 そんな姿が「まさに芸人だった」と話すのは、『ドリフと女優の爆笑劇場』(テレビ朝日系)を手がけた、テレビ朝日の元取締役制作局長・皇達也氏(79)だ。

 

「カツラや白塗りで突然、別人になれる。それが芸だった。そして志村けんは、素を見せるのを嫌がった。努力している姿を、テレビや舞台で感じさせてはならない。それでは、笑えなくなってしまうから。

 

 あの『徹子の部屋』にも出演しなかった。『志村けん』のイメージを崩すから、と。いま、それをできる芸人はいない。『志村けんの命日が、芸人の命日だ』と私は思っています」

 

 マギー審司(46)は、ギャグについてアドバイスを受けた。

 

「志村さんから、『 “(耳が)でっかくなっちゃった” は、ずっと全力でやりな』って言われましたね。『アイーンも飽きる時期があったけど、それを全力でやり続けたから、3世代でやってくれる(ギャグになった)』と」

 

 そんな、芸の道をとことん突き詰めた志村さん。自分以外に認めた芸人はいたのだろうか。

 

「土曜の昼、『お笑いスター誕生!!』をやっていて、『全員集合』の前に、ドリフ全員が見てたんです。志村さんはコロッケさんのことをおもしろいと言ってましたね。とんねるずでも笑っていたし、一人だけ真剣に見ていました」(松田氏)

 

(週刊FLASH 2020年7月28日・8月4日号)

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