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『半沢直樹』でドラマ初出演…ダンサー持田将史が役者になるまで

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.07.26 11:00 最終更新日:2020.07.26 11:00

『半沢直樹』でドラマ初出演…ダンサー持田将史が役者になるまで

 

 7月19日にスタートした日曜劇場『半沢直樹』(TBS系)。初回視聴率は22.0%と絶好調だ。今作は、堺雅人演じる半沢直樹の出向先である東京セントラル証券が、新たな舞台となる。

 

 第1話では、半沢たち上司を見つめながら「出向組はしょせん出向組だ」とつぶやく、黒縁眼鏡の社員が印象に残った人も多かっただろう。

 

 

 この男・原田浩平を演じるのは、4人組ダンスチーム「s**t kingz(シットキングス)」のリーダー・shojiこと持田将史。アメリカ最大のダンスコンテスト『BODY ROCK』で2年連続優勝した経験を持ち、三浦大知など、著名アーティストの振付を多数手がけてきた、世界的ダンサーだ。これがドラマデビューとは思えない堂々とした演技を見せる持田に、話を聞いた。

 

 持田は、第1話を自宅で家族とリアルタイムで見た。「放送前は、撮影のときより緊張しちゃって……。もう手に汗握って、ドキドキしながら見ていました」とはにかんだ。

 

「奥さんと2人で、僕が映った瞬間に大爆笑しました(笑)。奥さんは『よかったじゃん』って言ってくれました。近くにいて、一番厳しい目で僕を見てくれる人なので、すごく嬉しかったです。

 

 兄弟や両親も、セリフがあることに驚いていて。ラインで『デスクが半沢部長と近いね!』とか、いろいろ送られてきましたね(笑)」

 

 黒縁眼鏡がトレードマークの役どころだが、現場ではハプニングもあった。

 

「眼鏡を胸ポケットに入れたまま、かけるのを忘れてしまったんです。『本番いきまーす!』って声がかかったとき、堺さんがこっちを向いて『眼鏡!』って叫んでくださって、気づきました。あのままだと危うくリテイクになってしまうところでした。あんなすごい役者の皆さんに『すみません僕のせいで、もう一回お願いします』なんて言えません……(笑)」

 

 カメラが回っているときも、回っていないときも、「いつの間にか堺さんが中心にいた」と持田は振り返る。

 

「演技中は堺さんに、作品の世界観に引き込んでいただきました。本当に、引っ張られている感覚がするんです。休憩中も、右も左もわからない状態の僕に、『普段ダンスやってるんだよね?』と話しかけていただき、現場に溶け込めやすくしてくださいました。本当に、人間力が素晴らしい方だと思います」

 

 持田がダンスを始めたのは、大学生のころ。卒業後は、いちど就職してサラリーマンになった。しかし、同時期に今の「s**t kingz」メンバー3人と出会ったことが、人生を変える。

 

「僕以外のメンバーは、2カ月ぐらいロスにダンス留学をして、いい刺激を受けて帰ってくるんです。その間、僕は営業マンとして仕事をする日々で、3人との距離を強く感じました。

 

 あらためて考えたときに『ダンスが仕事になるかどうかとか、収入の安定とか、どうでもいい。ダンスがうまくなりたい』って強く思って、わずか2年で仕事をやめて、ロスに飛び立ちました」

 

 それからは、猪突猛進の日々。「s**t kingz」としてアメリカ最大のダンスコンテストで初優勝するのは、2010年のことだ。ダンス一色で走り続け、2018年には、全国ツアーに計2万5000人を動員するまでになった。

 

「頭の中がダンスだけで精一杯。常にダンスのことばかり考える20代を過ごしてきたんです。変わったのは30代になったころ、メンバーとやっていたラジオで、他のメンバーが『俺たちはダンサーである前に人間だぞ』って、ふざけてよく言ってたんですね。それが僕には、すごく響いたんですよ。

 

 ダンサーである前に“持田将史”っていう人間なのに、ダンサーであることにこだわりすぎて、自分の生き方を狭めてるかも、と気づいたんです。もともと演技には興味があったし、もっと自分の表現の幅を広げたいと考え始めました」

 

 昨年は朗読劇に出演。そして今年、35歳でのドラマデビューがいきなり『半沢直樹』という超人気作となった。

 

「自分の出番の後で、他の役者さんの演技をモニター越しに見せてもらったんですが、堺さんが部下役の角田晃広さんに詰め寄る場面なんて、モニター見ながら鳥肌立つわ、グッとくるわで、ずっと『うわあ』って両手あげながら見ちゃいました(笑)」

 

 一流ダンサーは、撮影現場でも貪欲だ。

 

「若い人にダンスレッスンをする機会が多いのですが、同じことを教えても、1しか受け取らないコもいれば、100受け取るコもいる。どれだけアンテナを張っているかが大事なんです。

 

 演技も同じだと思うので、現場で役者さんがぽろっと喋った言葉から、少しでも多くを学べるように、全員が切り干し大根になるぐらい、いろんなことを吸収してやろうって思いで見ていました」

 

 堺雅人から、多くのことを学んだ。

 

「堺さんは、まばたきすら凄いんですよ。それでシーンや温度感が変わる気がして。ご本人が意識されているかはわかりませんけど、繊細な表現には学ぶものがたくさんありました」

 

 原田浩平を演じる上では、かつてのサラリーマン経験が役立っている。

 

「僕も営業マンをやっていたので、気持ちはわかるんです。僕の会社も子会社で、たしかに部長以上は出向組だったので、すごく原田に共感した。自分の思いに対して忠実に、作品の世界観のなかで生きようと思いました。

 

 そうしたら、自然と他の役者さんたちが、感情を引っ張り出してくれた。やっぱりね、自然と怒れるんです。上司役の池田成志さん(出向組の諸田祥一役)とかね、わる~い顔するんですよ(笑)。そんな目で見られたら怒りますよ、という顔を。だから、何も考えず芝居をさせてもらえました」

 

 今や、すっかり俳優業の魅力にとりつかれている持田は、「やりたくない役がない」と笑う。「いろんな役者さんと会話をして、エネルギーと刺激を受けて勉強したい。35のおじさんになって、こんなに熱い思いになれるのは幸せです」と目を輝かせた。

 

 ダンサーとしても、さらなる飛躍を目指していく。

 

「ダンスがあったからこそ、演技でも表現したいと思うようになりました。これからもダンサーとして、一人でも多くの人にエンタテイメントを届けたいし、歴史に名を残したい。『1990年代にはマイケルジャクソン、2000年代にはs**t kingzがいた』って言われるような人間になりたいですね」

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