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『プレバト!!』夏井いつきが始めた「ギャ句゙」が面白すぎる
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.08.08 16:00 最終更新日:2020.08.08 16:00
『プレバト!!』(TBS系)で話題の夏井いつきは、「日本ギャ句゙協会」の会長だ。
「ギャ句゙」とは何か。
有名俳人の名句の、一字一音を替えることによって、意味を愕然と変えてしまおうという一種の言葉遊びである。
「最も少ない言葉変換による、最も大きい意味変換」
ギャ句゙の本質は、この一文に尽きる。
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たかがダジャレだろうと、ギャ句゙を馬鹿にしてはいけない。一句一句を舌頭に千転し、ギャ句゙るためのアイデアを練る。韻を踏める新しい言葉を探す。これら一連の作業は、己自身の俳句修行においても大きな効果をもたらす。
(1)名句を読む。
(2)名句を覚える。
(3)韻の働きが体に叩き込まれる。
(4)語彙が増え、言葉に対する感覚が鋭敏になる。
言葉を楽しみつつ、仲間たちと笑い合いつつ、こんな得を手にできるのが、ギャ句゙という遊びなのだ。
具体的に、誰もが知る正岡子規の名句「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」でギャ句゙を集めてみた。
●柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺 子規 明治28年
【原句解説】
柿を食ったら法隆寺の鐘が鳴った。なんとも風流である。この有名な句では、同じ「かき」の音で漢字を変換し、そこに入れ込む食べ物ネタがやたら多かった。
●牡蠣くへば金がなくなる法善寺 トポル
法善寺横丁で一杯やりながら、生牡蠣を食ったらそら高いわ。金はすぐになくなる。
●蟹くへば金がなくなり道頓堀 有田みかん
道頓堀のかに道楽で、「茹かに2種盛」を頼むと、食べやすく切った足10本で5000円とちょっとだから、1本あたり約500円。やっぱ蟹も高い。金がなくなる。
●藷(いも)くへば尻が鳴るなり放流時 のんしゃらん
藷は高くない。と思ったら、焼芋1本(大)500円という店もあり、結構高い。法隆寺を(屁の)放流時、と同音で工夫したつもりだろうが下品だよ、のんしゃらん。
●牡蠣くへば殻が散るなり床掃除 バロンYou
牡蠣殻を掃除しつつ食う、ってことは、市場で買った牡蠣を家食べ、家呑み。いいね。
●柿食へぬ腹が鳴るなり勾留時 由づる
なんで勾留されちまったか? 勾留時に腹が減って鳴っている時まで柿が食いたいとは、子規顔負けの柿好きか?
●課金くへば金がなくなりほぼ留置 佐々木延美
課金て何? 果物じゃないのはわかる。ほぼ留置ってどういうこと?
(注)「課金」とは、スマホ内で使用するアプリやゲームを買った人が携帯マネーで払う料金。買ってから、「あ、課金されるのか」と知って買うのを止めるパターンが「留置」。課金を食いすぎ金がなくなりほぼ留置、という現代の若者像をずばり詠んだ形だ。
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以上、夏井いつき氏の新刊『子規を「ギャ句゙」る 名句をひねると「ギャ句゙」になりました』(光文社新書)をもとに再構成しました。最少の言葉変換で最大の意味変換……角度を変えた俳句の楽しみ方、教えます!
●『子規を「ギャ句゙」る』詳細はこちら