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川上奈々美、裸業界の地位向上を願い「マスク1万枚」被災地へ
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.09.07 20:00 最終更新日:2020.09.08 14:56
「コロナ禍で、ストリップだけじゃなく、いろいろなお仕事が減りました。劇場やライブハウスに人も呼べないし、密になるから、狭いスタジオでは撮影もできない。
それで、家に閉じこもる日々が続きました。必然的に、自分と向き合う時間ができたんです。そんなとき、熊本県の豪雨被害を伝えるニュースを目にして……。『何か役に立つことをしたい』と、衝動が沸き起こったんです」
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そう語るのは、人気セクシー女優でストリッパーの川上奈々美だ。
九州全体で70人以上の犠牲者を出すなど、甚大な被害をおよぼした「令和2年7月豪雨」。川上は、被害が大きかった熊本県にマスクを届ける活動を始めた。
「被災したみなさんは、新型コロナウイルスの感染者が増えているなか、がれきや土砂の撤去作業をしなきゃいけない。『マスクや下着ならば、絶対にムダにはならないだろう』と思って。
いつまた “買い占め” が起こるような状況になるかもしれません。信頼できるツテを辿って、国内の企業を紹介してもらって、マスク1万枚を買わせて頂いたんです」
川上の取り組みを後押ししてくれたのは、ほかならぬ仕事仲間たちだった。
「ふだんからストリップ公演でお世話になっている『浅草ロック座』に、支援物資の保管や管理をお願いしたら、快く引き受けてくださったんです。
そのうえ社長のツテで、熊本県人吉市の『青井阿蘇神社』を紹介してもらえて。地域の支援物資の集積所になっていて、一括してお送りすることができました」
川上は、以前から「社会に貢献したい」という思いを抱いていたという。
「思い返すと、10代のころから心のどこかで思ってはいたんです。でも、上京して日々の仕事に追われていくうちに心身の余裕がなくなって、いつの間にか、そういう気持ちが薄らいでいたんです。『社会貢献なんて、単なるきれいごと』って、思っちゃうこともありました。
でもそれから時間が経って、いろいろなジャンルのお仕事で評価して頂けるようになって。心に余裕ができたからなのか、周りに集まる方々が変わってきたのか、『やっぱり、私は社会に貢献できる人間になりたい』と強く思えるようになったんです」
2012年のデビュー以来、「恵比寿★マスカッツ」でのアイドル活動をはじめ、映画や演劇でも、評価されている川上。“裸業界” を背負うという決意もにじむ。
「『背負う』というとカッコつけすぎですけど、以前の私は『私が与えたぶんだけ返してよ』というような、見返りを求めるタイプでした。でも、お仕事の幅が広がって、高い評価を頂けるようになって、『自分が評価されれば、業界全体を底上げできる』と考えるようになったんです。
AVにしろストリップにしろ、私を見て、この業界を志したという子も出て来てくれました。いまや浅草ロック座を代表する踊り子になった南まゆちゃん、先日ストリップデビューした琴井しほりちゃんがその例です。
いまでは、そんな後輩たちの姿を見て、『自分ががんばれば、他人の人生に影響を与えることができるんだ』と思っています。“裸のお仕事” に対する社会的なイメージだって、変わるかもしれない。そういう意識で、社会貢献活動を続けていきたいと思っています」
現状、まだまだ世間の目は冷たい。しかし川上は前向きだ。
「具体的な話をすると、10万円の特別定額給付金や、企業に出された100万円の持続化給付金も、当初は “風俗嬢やストリッパーは対象外” でした。のちに、そんな国や行政の姿勢に批判が集まって、対象に入れてもらえるようになりましたが…。
『裸の仕事をする人間が、何を言っているんだ』と、せせら笑う同業者もいます。でも、いま私がやりたいことを、まずは私自身が信じて取り組みたい。この業界が丸ごと、社会の仲間に入れてもらえない今の状況だって、私ががんばることで、少しは変えられると思うんです。
私も、精神的にしんどい時に、映画をたくさん見て、心が安らぎました。私が出演した作品や、公演を通じて、誰かを癒やしてあげることができたらいいなと願っています」
かわかみ・ななみ
1992年10月14日生まれ。2012年にアリスJAPAN専属女優としてデビュー。2015年にはストリップデビュー。同年9月から「恵比寿★マスカッツ」の副キャップとしても活躍、人気を博した。現在では、映画、歌、舞台などで多岐にわたって活動中。9月20日まで、浅草ロック座で舞台に立つ
写真・藤中一平