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河相我聞、俳優人生の支えは「小田和正」の姿
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.09.14 11:00 最終更新日:2020.09.14 11:00
2005年にラーメン店を始めたことも話題を呼んだ。
「あのときは本当に、お金が必要だったんです。子供もいたし、事務所からもらっていた給料が驚くぐらい少なくて、それで『何か副業をしなきゃ』と思って始めたんですが、これが当たったんですね」
人気店となり支店も出したが、2年後に店から手を引いた。所属事務所が店に対して、肖像権などの使用をめぐり損害賠償請求したこと(裁判で棄却)や、共同経営者の横領が発覚したことが原因だった。
「いろいろ大変な目に遭って、事務所も辞めましたから。『これは干されちゃうな』と思って、自分で会社を立ち上げたんですよ。マネージメントも自分でやって。いろんなところへ挨拶まわりにも行きました。そのとき、多くの方に助けていただいて、それで今の自分があるんです」
殺される役でも、犯人役でも、求められるなら精いっぱいそれをこなす。「ただ目の前のことに必死で、それだけで生きてきた」という河相が、いまも心の支えにしている出会いがある。
「20歳を過ぎたころのことです。仕事は忙しかったんですが、給料が少なかったんです。忙しかったのに、サラリーマンの初任給以下ですよ。“ブラック企業” なんてもんじゃないです。埼玉の友達なんかは大工とか鳶職人になって、すごく稼いでいたし、『自分もそっちへ行ったほうがいいかな』と思っていた。
そんなとき、小田和正さんが監督をされた映画(1998年公開『緑の街』)の出演オファーをいただいたんです。音楽で大成功された方が、50歳を過ぎて映画を撮るんですよ。しかも最初は劇場公開ができず、小さなホールや公会堂で巡回上映したんですが、そこで小田さんが楽しそうに動いている。
その姿を目のあたりにして、『自分はなんてちっぽけなのか』と思って。それでもう一度、俳優という仕事とちゃんと向き合ってみようと思えたんです」
この日、河相は、数日前に染めたばかりだという金髪姿で店にやってきた。
「45歳にして、初めての金髪です。11月から始まるドラマの仕事をいただいたんですが、監督さんから『金髪で頼む』と言われたので。
躊躇は、まったくなかった。『こういう河相我聞が欲しい』と言われれば、丸刈りだろうがパンチパーマだろうが、なんでもやります」
焼ける肉に目をやりつつ、ゴクリとビールを喉に流し込む。
「コロナの影響で仕事がない時期はありましたが、これまでもいろいろあったんで、『またか』という感じでもありますね。『人生ゲーム』でたとえるなら、もう、1周しちゃった気分です。
子供2人も手がかからなくなって。さあ『人生ゲーム』の2周め、何をやろうかって、そんな時期なのかな。目標とか野望とか、そんな大それたものはないですけど、とにかく健康第一。それで、目の前の仕事に全力を尽くす。それだけですよ」
この日の〆は、牛すじがたっぷり入った特製カレー。肉の旨味とスパイスが絶妙に絡み合った、よそでは、まねできない味。この店に来るたび、毎回頼む鉄板メニューだ。
「役者というのは、仕事をいただいて成り立つもの。自分で役柄などを決めることはできないですが、そこにも自分なりの幅だとか深みを出せればいいと思っています。ここのカレーのようにね」
2まわりめの人生は、我聞流の隠し味で、さらにコク深くーー。
かあいがもん
1975年5月24日生まれ 埼玉県出身 俳優、ナレーター、ミュージシャン。ドラマ『天までとどけ』(TBS系)にレギュラー出演して以降、テレビドラマを中心に活躍。近年では舞台や映画のほか、体験談をユーモラスに綴ったブログや書籍なども評価されている。また、企画ものの動画を制作するなど、クリエイターの仕事も楽しむ。11月スタートのWOWOWドラマ『殺意の道程』に出演
【SHOP DATA/焼肉ホルモン 大笑】
・住所/東京都新宿区下落合1-3-19 第三丸城ビル2階
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(週刊FLASH 2020年9月22日号)