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平田満『蒲田行進曲』ブレイクも…「他人まかせのツケ」に葛藤

エンタメ・アイドル 投稿日:2020.10.12 16:00FLASH編集部

平田満『蒲田行進曲』ブレイクも…「他人まかせのツケ」に葛藤

 

「20代のころからお店に来ていますから、もう40年ですかね。当時はお金もないし、あっちこっち行ける身分じゃなかったんで、文学座の先輩に連れてきてもらったと思います。ほとんど、誰のお金かわからずに飲んでいた記憶があります(笑)」

 

 40年前を懐かしむように話すのは、平田満(66)。紀伊國屋ホールの舞台への出演後など、打ち上げに利用する “いつもの店” が、新宿の老舗居酒屋「池林房」である。

 

 

「『おつかれさま』と、わいわいやるのに、ここのお座敷の広さがぴったり。店内も明るいし、場所的に(新宿)駅からちょっと離れていて、なおかつ、あまりディープでもない。夜も遅くまでやっているし、とっても使い勝手がいいんですよね」

 

 生きた酵母を残し、きめ細やかな泡が味わえるビール「白穂乃香」を、ひと口。

 

「置いてあるお店が少ないんですが、ベルギービール風で美味しい。若いころなら、絶対に頼めない贅沢品です(笑)。『こんにゃくとしらす炒め』は、こちらでいちばんお安いんで、昔はよく食べていました。最近は、ちょっと余裕が出てきたから久しぶりかな。変わらない味ですね。

 

 昔はバールもイタメシ屋もなかったから、『トリッパ』は、ここで初めて知りました。ここは和洋中なんでも揃っていて、美味しいんです」

 

 店と同じぐらい縁が深いのが、オーナーの太田篤哉さん。太田さんは、池林房の目と鼻の先にある多目的空間「SPACE 雑遊」を、2006年にオープン。こけら落とし公演を、平田と妻で女優の井上加奈子(67)が制作する企画プロデュース共同体「アル☆カンパニー」がおこなっている。

 

「太田さんに、『なんかやってよ』って言われて、最初にリーディング(朗読)公演をやったんです。回を重ねていくうちに、次はお芝居を……という感じで、それ以来、1年に1回ぐらい、定期的にやらせていただいています。

 

 じつは東日本大震災が起きたとき、舞台を数日後に控えて、『雑遊』で稽古をしていたんです。いきなり、ゆっさゆさと揺れて、交通機関が全部止まってしまった。翌日も舞台稽古があったので、そのまま劇場に泊まることにしたんですよ。

 

 そしたら、太田さんが寝袋を貸してくださって。僕とかみさんと2人、稽古場で寝袋で寝ました。なおかつ翌日は、スタッフのためにおにぎりまで用意してくださってね。太田さんには、本当にお世話になっているんです」

 

 取材中、顔を出してくれた太田さんと話す平田は、あふれんばかりの笑顔。その表情から2人のつき合いの長さが伝わってきた。

 

 いまや引く手あまた、ベテラン俳優の平田だが、小学校の学芸会の劇では「その他大勢だった」と笑う。意外にも高校では、ラグビー部に所属。

 

「体育会系というよりは、クラブ活動。競技は知ってましたが、どんなふうにやるかは全然知らなかった。この体でポジションは、フォワード。リーチマイケルと同じです(笑)」

 

 愛知県の高校を卒業後、早稲田大学に入学。ラグビーをやるために? それとも演劇をやるために? と聞くと、笑ってこう答える。

 

「もちろん、早稲田のラグビー部は好きでしたけど、一度、東伏見のグラウンドに見に行って、『通用するものじゃないな』と。演劇は、戯曲を読んだこともなかったので、どちらも関係ないです。

 

 ただ、『先の見える、出来上がっちゃったような人生は歩みたくないな』って。むしろ、何が起こるかわからないほうが、おもしろいと思っていました。ネクタイを締めたサラリーマンの自分は、まったく想像がつかなかったですね」

 

 知らない世界に飛び込みたいと思っていた平田は、ひょんなことから入った大学内の劇団「暫」で、人生を変える出会いを経験する。

 

「夏休みに、実験公演的なものを先輩がやってくださって。でも僕は、恥ずかしかったり、よくわからなかったりで。向いてないなと思って『やめます』と言いに行ったところに、つか(こうへい)さんがいらっしゃった。

 

 もう稽古が始まっていて、『これ1回だけ』と思って参加したら、そのままズルズルと(笑)。やっぱり、求心力がおありだったんでしょうね。“ジャーン” っていうようなものは何もないですけど、ある意味つかさんとの出会いは、運命的なものかもしれないですね」

 

 その後は、稽古をして芝居をして、終わると「じゃあな」と、つかさんとは音信不通に。次があるのか、ないのかもわからないまま、食べるためにアルバイトをして過ごしていると……ある日、つかさんから「明日から稽古をするから来いよ」と連絡が来る。

 

「『そう言われると、行かざるを得ない』みたいな、そんな感じでした。決まっていたアルバイトも、『すみません、やめます』って(笑)。

 

 そのころはもう、僕自身が “お芝居しかない、あとはカス” みたいな生活でね。『芝居を除いたら、何もないな』って思っていたし、少なくとも稽古や芝居をしていれば、生きてるっていう感じがした。つかさんが声をかけてくれるうちはやろう、『もういいから来るな』と言われたら、それから考えようと」

 

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