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渋川清彦「たとえワンシーンでも絶対出る」恩人・豊田利晃監督との絆

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.12.24 20:00 最終更新日:2020.12.24 20:00

渋川清彦「たとえワンシーンでも絶対出る」恩人・豊田利晃監督との絆

モデルとしての、35歳のときの渋川(『men's FUDGE』2009年4月号、三栄書房)

 

「主演を張るようなタイプの役者ではない」と言う渋川だが、主演作『柴公園』(2019年)以降、出演映画はこの1年間で10本と多忙を極めている。2020年公開の映画『ばるぼら』に加え、2本の連続ドラマにも出演した。

 

「まわりが言うほど、忙しくないですよ。数が多いだけで、メインでなければ毎日現場があるわけではないし、休みはあるほうだと思います。ただ台本を覚えることも、仕事だといえば仕事ですけど。

 

 作品世界にずっといるのが大事な気がするし、好きなので、『半世界』のときの撮影のように、どっぷり一本の中に浸るのが理想です」

 

 仕事選びの基準はあるのだろうか。

 

「番手や出演シーンの量は、一切気にしないです。基本的には大小にかかわらず仕事は受けますが、依頼された順番や、作品に対する作り手の熱量にはこだわりますね。学生の自主映画でも、新人監督の映画でも、何か思いがあれば関わりたい。

 

 贅沢をひとつだけ言えば、撮影で地方に行けるのが最高ですね。その土地のことを事前に調べて、そこで過ごす時間が好きなんです」

 

 たしかにメジャー・自主製作を問わず出演し、ヤクザからサラリーマンまで幅広く役を演じてきた。

 

「『閉鎖病棟』の粗暴な入院患者役や、『コントロール・オブ・バイオレンス』の半グレ役とか、『大変だったでしょ』と言われるけど、暴力的な役ってわかりやすいし、むしろ楽ですよ。『柴公園』の主人公のような、どこにでもいそうなふつうの男のほうが、しゃべり方ひとつとっても、演じていて難しいですね。

 

 自分自身の性格は『頑固で天邪鬼』だと思うのですが、演じることに関しては、とにかく柔軟でありたい。自分に限らず、脇役として多く出ている俳優たちは皆、柔軟だと思います。俺は台詞を覚える以外、あまり役は作り込みません。役を膨らませたりはせずに、なるべく監督に言われたまま演じます。

 

 むしろ、現場での瞬発力を大切にします。芝居を固めすぎると、何かが現場で崩れたり、変更されたとき、脆い気がするんです。瞬発力でやっているほうが、現場の変化に対応できる」

 

 現場では柔軟に演技に臨み、完成した作品にも執着はない。あくまでマイペースだ。

 

「理想の役者像とかないですし、自分の最新作を細かくチェックしたりもしません。どっぷり取り組んでも、終わると忘れてしまうこともありますし。

 

 自分の作品を観て、後から何かを感じるというよりも、撮影が終わって眠る前とかに、『こうしとけばよかったかな』とか、その日の芝居を振り返ることは多い。その時間はわりと楽しいですね」

 

しぶかわきよひこ
1974年7月2日生まれ 群馬県出身 「KEE」名義でのモデル活動を経て、1998年に豊田利晃監督『ポルノスター』で映画デビュー。2015年には、『お盆の弟』(大崎章監督)、『アレノ』(越川道夫監督)の2作品で、第37回ヨコハマ映画祭主演男優賞を受賞。2019年『半世界』(阪本順治監督)、『閉鎖病棟』(平山秀幸監督)など3作品で、第32回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の助演男優賞を受賞。現在放送中のドラマ『恋する母たち』(TBS系)、『猫』(テレビ東京系)に出演。出演映画『ばるぼら』(手塚眞監督)が公開中

 

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写真・野澤亘伸

 

(週刊FLASH 2020年12月8日号)

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