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映画『キングダム』では「橋本環奈」を…スタントウーマンと女優の“絆物語”
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.12.29 06:00 最終更新日:2020.12.29 06:00
CG全盛の現代で国産アクションが下火になるなか、経験豊富なスタントウーマンたちは今も肉体を酷使し、作品世界に輝きを与え続ける。そんななかで生まれた、女優と女性スタントの絆。彼女たちは主役と黒子の関係を超え、一心同体となる――。
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今回は、映画『キングダム』で橋本環奈を、ドラマ『今際の国のアリス』では土屋太鳳を、映画『爆裂魔神少女 バーストマシンガール』では搗宮姫奈(つきみやひめな)のアクションを担当した、坂口茉琴にクローズアップ!
園子温監督のヒップホップ活劇『TOKYO TRIBE』(2014年)には、度肝を抜かれた。少年・ヨン役で登場する坂口は、独楽のように目まぐるしく動き、レスラー並みの体躯の悪役たちを次々となぎ倒す。
師匠である俳優・坂口拓がアクション監督を務めていた縁で、園監督が目をつけ、急遽出演が決定。脚本を書き換えてまで、園監督は坂口の出演にこだわった。
「子供のころから体を動かすことが好きで、ブレイクダンスにはまり、アクションにも興味を持ちました。ともに映画デビューした清野菜名ちゃんと、『TOKYO TRIBE』はスタントなしで取り組みました」
清野もまた、高校時代には坂口拓の道場に通い、アクションの研鑽を積んだ。坂口は、共演を通じて清野との絆を深め、今も連絡を取り合う仲だ。「今のハリウッドでは、スタントは影の存在じゃない。早く日本もそうならなきゃ」と清野に言われているという。
2015年の三池崇史監督作品『極道大戦争』でも、パンチパーマのヤクザに扮し、斧を片手に暴れまくった坂口。以降は、スタントやアクション監督、コーディネーターとしての活動が増える。
2O19年公開の『バーストマシンガール』では、1人4役の吹き替え(=アクション)もこなした。主演の搗宮が華麗にトンボを切る場面も、じつは坂口が吹き替えている。搗宮は語る。
「共演した(坂口)拓さんがアクション監督も兼任し、3カ月間つきっきりで面倒を見てくれました。そこで茉琴ちゃんとも出会いました。
それまでアクション映画は苦手でしたが、拓さんが関わった作品を観ると、すごくおもしろい。少年みたいな女の子が出てるぞ、と思ったら茉琴ちゃんでした(笑)」
ダブル(=アクション)は本来、役者と体型が近いスタントが演じるが、2人が背中合わせになると、その身長差に驚かされる。
「私は148cmで、姫奈ちゃんは162cm。差を縮めるため、なるべく大きく動くようにしています。同じくスタントを務めた映画『キングダム』の橋本環奈さんは152cm、ドラマ『今際の国のアリス』の土屋太鳳さんは155cmと、小柄なんでやりやすかったですね」
小柄でも、アクションの凄みで実際以上に大きく見せる。23歳にして、すでに職人の域に達している。
さかぐちまこと
1996年、神奈川県生まれ。アクション俳優・坂口拓に憧れ、2014年に弟子入り後、『TOKYO TRIBE』で映画デビューし、師匠の名字を譲り受ける。共演の多い斎藤工や川瀬陽太など、男優たちからの信頼も厚い
取材&文・鈴木隆祐
(週刊FLASH 2020年12月15日号)