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『水戸黄門』由美かおる『おりん』青山倫子…あのアクションを演ったのは私です!

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2020.12.31 11:00 最終更新日:2020.12.31 11:00

『水戸黄門』由美かおる『おりん』青山倫子…あのアクションを演ったのは私です!

 

 CG全盛の現代で国産アクションが下火になるなか、経験豊富なスタントウーマンたちは今も肉体を酷使し、作品世界に輝きを与え続ける。そんななかで生まれた、女優と女性スタントの絆。彼女たちは主役と黒子の関係を超え、一心同体となる――。

 

 今回は、『水戸黄門』(TBS系)では由美かおるや篠田麻里子を、『逃亡者 おりん』(テレビ東京系)では主演・青山倫子のアクションを担当した、田中千尋にクローズアップ!

 

 

 持ち前の運動神経を担任教師に買われ、地元の器械体操クラブに通いだしたのは小学4年のとき。田中は次第に体操にのめり込み、中学・高校では府大会の常連だった。

 

「短大に進学した20年前、バイトでインストラクターをしていた体操教室に、ふらっと現われたのが、日本初のスタントマンと呼ばれる宍戸大全。私の師匠でした」

 

 宍戸は、日本体育大学では千葉真一の先輩にあたり、大映では長谷川一夫や市川雷蔵、東映では鶴田浩二や菅原文太などの大スターの吹き替え(=アクション)を担当し、後進の指導もおこなってきた。そんな大家が自身の率いるアクションチームに「女性の欠員が出た」と、突然スカウトに来たのだ。

 

「私にちょっと回転飛びをさせ、『じゃ、明日から来られる?』って。それまで、アクション映画やドラマなど好んで観てもいなかったし、現場に行っても右往左往するだけ。でも、『そのうち、わかるから』とほったらかしでした」

 

 だが、日本アクション界の至宝は、さすが慧眼の持ち主。一発で見込まれた田中は、その場で教わった所作を次々に身につけ、危険なスタントも難なくこなしていった。

 

「すぐについたのは、『水戸黄門』の“疾風のお娟”役の由美さんでした。由美さんには今も、かわいがっていただいています。入浴シーンの吹き替えは、ありません。あれはずっとご本人のまま(笑)。

 

 BSで復活した『水戸黄門』でも、最初のシーズンは篠田麻里子さん演じるくノ一の詩乃を吹き替えました」

 

 もっとも思い出深いのは『逃亡者 おりん』(テレビ東京系)だという。2006年の第1シリーズから、何本かのスペシャル版、2012年の第2シリーズと、主演の青山倫子とは二人三脚で歩んできた。今回、東京の青山と京都の田中に、ビデオ通話で久々に対面してもらった。青山は語る。

 

「ほとんど演技経験もないのに、いきなり時代劇の主役に抜擢され、京都の撮影所に行っても、まだドッキリだと思ってました。それも目の前には火の中に飛び込んだり、石垣をよじ登ったりと、あり得ない光景(笑)。

 

 私の『ダブル(=スタント)』を千尋さんが演じるのではなく、私のほうがむしろ、千尋さんのアクションの思いをくんで、芝居に引き継いでいました」

 

 それだけ、2人の連係プレーが重視された作品だった。主人公のおりんは、幕府直轄の組織の陰謀を暴き、抜け忍として追われる身となるのだが、クライマックスではなぜかレオタード風の衣装に着替える。それが、「本気になった証し」なのだ。

 

「でも、薄着だと冬場は寒くって~」と青山が笑うと、「あの格好になってからのほうが、アクションのレベルは上がる。泳いだり、どんでん返しを縦に回ったり……」と、田中はあくまで愉快そう。数々の現場に体当たりで挑んできた経験の深みが、そんな飄々とした受け答えからも伝わる。

 

 青山と田中は歳も近く、最初の『おりん』のときは26歳~27歳だった。田中が「あのころが最も体が動きやすかった」と振り返れば、青山も「アクションってこんなにも感情を乗せられるんだと、千尋さんから学びました」と応じる。

 

 いまだに、双子のように呼吸が合う2人。田中は、たった一作の一場面でも、同じように女優と一体化してみせるのだ。


たなかちひろ
1981年京都府生まれ。20歳で、日本初のスタントマン・宍戸大全に弟子入り。ドラマで「ダブル」を演じた女優は、『大奥』の仲間由紀恵、『必殺仕事人』の水川あさみと山本美月、『火車』の佐々木希……と、綺羅星のごとし!

 

写真・安藤青太
取材&文・鈴木隆祐

 

(週刊FLASH 2020年12月15日号)

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