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『ガラスの仮面2』では「安達祐実」を…スタントウーマンと女優の“絆物語”
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.01.02 11:00 最終更新日:2021.01.02 11:00
CG全盛の現代で国産アクションが下火になるなか、経験豊富なスタントウーマンたちは今も肉体を酷使し、作品世界に輝きを与え続ける。そんななかで生まれた、女優と女性スタントの絆。彼女たちは主役と黒子の関係を超え、一心同体となる――。
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今回は、『聖龍伝説』(日本テレビ系)・『ガラスの仮面』(テレビ朝日系)で安達祐実のアクションを担当した、田中里佳にクローズアップ!
アクション専門のプロダクションとして、日本の映画やドラマを革新したのは間違いなく、千葉真一が創設したJAC(ジャパンアクションクラブ、現・JAE)だ。このJACで研鑽の日々を送ったひとりが、田中だ。小柄な体躯で、もっぱら子役やアイドルなどの吹き替え(=アクション)を務めてきた。
田中は、子役から青春スターへと脱皮時の安達のダブル(=スタント担当)として知られ、1996年の『聖龍伝説』や、1997年の『ガラスの仮面』で修羅場をともにした。安達自身もブログで2回にわたり、田中を「分身」だと綴っている。
「祐実さんの吹き替えは、たまたま長く続き、とても特別なケースだったと思います」(田中)
田中の記憶に最も残っているのは、『ガラスの仮面2』の第10話。役作りのため森に入った主人公が、崖からすべり落ちそうになるシーンだ。
「私でさえ危なかったのに、ご本人もほぼ同じ場所で撮りました。むろんハーネスをつけて安全対策をしているんですが、私も地面に這いつくばって、『安心してね』と声をかけ、とっさに手を伸ばしました。その手を握り返し、ずっと離さずにいてくれたのが、今でも忘れられません」
スタントの仕事に疲弊していた田中はそのとき、「人に求められることの大切さ」を痛感したという。女優が演じるうえでの危険を背負うのがダブルだが、ときとして役を超え、コインの表裏のように、女優と一対にもなるのだ。
たなかりか
1970年大阪府生まれ。子供のころは器械体操を習い、ジャッキー・チェンに憧れた。吹き替えた女優は酒井法子、広末涼子ら多数
取材&文・鈴木隆祐
(週刊FLASH 2020年12月15日号)