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西岡徳馬「出たら電車に乗れなくなる」ドラマPの予言が的中した『東京ラブストーリー』

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.01.03 06:00 最終更新日:2021.01.03 06:00

西岡徳馬「出たら電車に乗れなくなる」ドラマPの予言が的中した『東京ラブストーリー』

 

「ここのもつ鍋のもつは、においもなくて、プリプリして美味しいんだよ。つい飲んじゃうから、車で動いている俺は、帰れなくなっちゃう。だから、運転してくれる妻と一緒に来ることが多いね。酒は毎日飲みます。まずはビールだね」

 

 そう話してビールを飲み干すのは西岡徳馬。彼が通うJR国分寺駅から数分の「博多風串焼もつ鍋 まる」は、長女の夫が営む店だ。

 

 

「長女が2歳になる前に離婚したから、俺には、小さいころに何もしてあげられなかった悔恨があってね。今の家族と長女は仲がいいし、真一郎(店主)とはゴルフにも行く。

 

 この店のお客さんたちでゴルフコンペをやって、ここで表彰式をやるの。再婚してもこんな関係が築けているのは、すごく幸せでありがたい話だよ」

 

俳優になられたきっかけは?」と聞くと、「聞いちゃう? 長くなるよ」といたずらっぽく笑いながら、話を続けた。

 

「小学校1年生から3年生まで、子役をやってたの。親戚の仕事絡みで、子役が足りないからと駆り出されたら、『うまい、天才だ』って褒められて続けちゃった。

 

 でも小学校3年生のとき、俺の喘息の発作が出たせいで、ロケが数日中止になっちゃったんだよ。みんなに迷惑かけたのが本当に嫌で、その場でやめたんだ」

 

 そんな彼が再び演劇の世界に飛び込んだきっかけは、息子に可能性を感じていた、父親のひと言だった。

 

「高校のころは、あんまり素行がよろしくなくてさ。男子校の硬派でバリバリだったの。高校2年のとき留年しちゃって、面談に来ていた親父が先生と喧嘩になっちゃって、俺の手を引いて『おい、やめるぞ』って(笑)。

 

 親父は印刷会社を経営していたんだけど、『東宝芸能学校』のパンフレットを持ってきて、『お前はこういう道が合っているから、こっちに行け。会社は弟に継がせる』って言われてね」

 

 こうして西岡は「東宝芸能学校」に入学。ここで、西岡の人生を決める恩師と出会う。

 

「最初の帝劇専属女優だった村田嘉久子さんが講師を務めていて、ものすごく怖くてみんなにダメ出しして、外見は“いじわるばあさん”みたいだった(笑)。

 

 ある日、『西岡さん、あんたね、あんたはいい役者になるよ』と言われてね。今でも覚えてるんだけど、そのときに“いい役者って何?”と思って。あのひと言が大きかった」

 

 それから、演劇を勉強するために高校に編入。大学は新設された玉川大学文学部芸術学科演劇専攻に進学し、2年間演劇漬けの日々を送る。ここでまた、将来を決める“ひと言”に出会う。

 

「大学に教えに来ていた文学座の演出家に『卒業したらどこへ行くんだ?』って聞かれてね。『劇団雲』か『劇団四季』に行きたいと答えたら『西岡は、いちばん文学座的なんだけどな』って。また、このひと言が決め手になったんだよね」

 

 こうして文学座へ進んだ西岡は、多くの作品に出演。文学座以外でも、蜷川幸雄氏・つかこうへい氏・福田陽一郎氏といった売れっ子演出家から声がかかり、舞台に上がる。

 

「このときに文学座から、『規約があるから年に3本以上ほかの芝居に出ちゃダメ』と言われて、ちょうどこの世界をすすめてくれた親父も亡くなった。

 

 俺は生来のんびり型で、大学のころのあだ名は『グズラ』。『逃げ場のない、断崖絶壁に自分を追い込まないとダメなんだ』って思ってね。ここからだね、『文学座』という金看板を外した“ただの西岡徳馬”がどこまで通用するのか、本気で頑張ったのは」

 

 一念発起して、文学座を円満退座。33歳のときだった。それから10年後。つかこうへい作・演出の『幕末純情伝』が大ヒット。赤いブラジャーと赤い網タイツ姿で坂本龍馬を演じた西岡は、鮮烈な印象を残す。

 

「テレビ各局のプロデューサーが観に来て、フジテレビに呼ばれてね。『鈴木保奈美さん主演の東京ラブストーリーというドラマがあって、彼女が不倫をして妊娠しちゃうんですよ。鈴木さんを妊娠させる男は誰がいい? と役者さんを探していたところ、坂本龍馬を演じていた西岡さんに白羽の矢が立ったから、ぜひやってほしい』と言われてね。

 

『鈴木保奈美を妊娠させてもおかしくない男って……本当かよ』って(笑)。『ただし、このドラマに出たら電車に乗れなくなる』って言うから、ずいぶん大袈裟だなって思ったんだけど、実際そのとおりになったね。

 

 ドラマの打ち上げで局のお偉いさんたちに『車は何に乗っているんですか?』って聞かれたから国産車名を答えたら『国産、なんですか』って言うんだよ。

 

 腹が立ったから、『中古でもいいから、ベンツを買おう』と思って探しに行ったときに巡り合ったのが、新古車のジャガー。それからずっとジャガーに乗ってたよ」

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