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袴田吉彦「ダウンタウンさんには感謝しかない」不倫自粛と『笑ってはいけない』出演秘話
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.01.12 11:00 最終更新日:2021.01.12 11:00
冷たい雨がしとしと降る午後6時、袴田吉彦は傘も差さずに東京・東陽町の商店街を走ってやってきた。取材場所は、カフェバーのような雰囲気のおしゃれな中華料理店「中華&BAR TENSUI」。
「この店はフットサル仲間が経営しているんです。彼の実家が40年続いた中華料理屋さんで、その味を引き継いでいます。餃子が絶品なんですけど、僕は五目ウマニ丼の “頭”、ご飯がない上だけをおつまみに、お酒を飲むのが好きです」
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プライベートで、俳優仲間や仕事関係者と飲みに行くことは、めったにないという。「仕事を離れたオフでは、フットサル仲間などの友人が軸になっています」と笑いながら上着を脱いだ。下はTシャツ一枚。47歳には見えない引き締まった体である。
「いやいや、最近は、おなか周りに肉がつくようになりました。2020年の春に新型コロナで緊急事態宣言が出されましたけど、そのときはドラマの撮影などが全部ストップ。僕もずっと自宅待機をしました。やることがないので、お酒を飲みながらネット配信の映画を一日に3本くらい観ていました。
自宅待機中の不安ですか? 僕はどうやら不安というものに対する神経が鈍いみたいです。気にしない性格というか。だから、『このまま仕事がなくなるのかなあ』と思いはするんですけど、それ以上は考えない。それに自宅待機というか、自粛は2度めの経験ですからね(苦笑)」
袴田が言う「自粛」とは、2017年1月にタレントとのホテル密会が発覚、同年9月に離婚してからしばらく芸能活動を控えていたことを指している。
「とはいっても、あの不倫スキャンダルでの自粛は正直、きつかったです。なんだかわからないけど、恐ろしさをめちゃめちゃ感じて、心臓がつぶれそうにもなりました。
でも、あれをきっかけに僕自身の考え方や行動はすごく変わりました。なにしろ、考える時間だけは、たくさんありましたから」
袴田は、1991年に「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞。翌年に『二十才の微熱』で早くも映画デビューするなど、順風満帆な俳優人生を歩んできた。
「デビューから一気に売れてしまい、人間としての成長が追いついていかなかったのかもしれません。振り返ると、いろいろなことを疎かにしていたと思うんです。それに気づくことができました。だから今は、以前にも増して、お仕事をいただけることに感謝しています」
袴田も周囲も、「あの出演が第二の俳優人生のスタート」と断言するのが、2017年の12月に放送された『絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時!』(日本テレビ系)だ。袴田は「不倫仮面」に扮して登場。不倫ネタを連発してダウンタウンなどの、笑いにシビアな芸人を次々「アウト~!」にした。
しかし、この出演依頼には悩みに悩んだという。
「僕個人のことより、元奥さんや子供、お互いの両親のことを考えました。『僕が出演することで、子供がいじめられるんじゃないか』とか、『不倫をネタにしてバラエティ番組に出ていいのか』とか。一方で、『もしかしたら、もう一度芸能界で活動するチャンスをくれているんじゃないか』とも思ったんです。
出演するかどうかの返事をする期限も迫ってきて、迷いに迷いました。周囲にもあまり相談できずにいて、それこそ胃が痛くなるほどでした。放送後の反応ですか? まあまあ好意的だったと記憶していますが、『まさか、ここまでとは思っていなかった』という声もありました」
この出演が俳優・袴田吉彦を変えた。
「デビューからずっと、ほぼ俳優の仕事だけしかしていませんでした。『ほかのことに挑戦するのは、ちょっと怖い』みたいなところもあったんです。だから初めてバラエティに出演して、役者としての『幅』みたいなものが広がりました。引出しが増えた? そう言っていいのかもしれません。
演技そのものが上手になったとは思いませんけど……なんていうか、気持ち。そう、役に対して深く入り込むようになったんです。『今、自分は何をすべきか』が客観的に見えるようになった気もします。
芸人さんの言葉のキャッチボールだったり、絶妙な間合いだったり切り返しだったり。そんないろいろなことに間近で接したことで影響されたんだと思います。ダウンタウンさんには、感謝しかありません」
あるベテラン芸能記者が、袴田をこう評していた。
「不倫をネタにしてバラエティに出ても、一瞬の花火で終わったり、その後もずっとイロモノ扱いされることが多いんです。だけど袴田さんは、しっかり俳優として再出発しました。しかも、出演依頼は以前より多くなっていると聞いています。芯がぶれなかったんでしょうね」
この言葉を袴田に告げると、「今までは『なんとなく』という気持ちで仕事に取り組んでいた部分もあったと思うんです。だけど今は、『気を引き締めてしっかりやらないと』という気持ちが強いです」と居住まいを正した。