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名曲散歩/BORO『大阪で生まれた女』フルバージョンは18番まである長大な物語

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.01.24 16:00 最終更新日:2021.01.24 16:00

名曲散歩/BORO『大阪で生まれた女』フルバージョンは18番まである長大な物語

 

 東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。

 

お客さん:お、このイントロはBOROの『大阪で生まれた女』。大阪出身じゃない人でも、切なくなるし、沁みるよねえ……。

 

 

マスター:1979年、BOROのデビュー2枚目のシングルで、今や大阪のご当地ソングだ。

 

お客さん:ショーケン(萩原健一)のバージョンもヒットしたよね。

 

マスター:実は、ショーケンとこの歌を結びつけたのは、あの内田裕也なんだ。

 

お客さん:ロッケンロールの!?

 

マスター:BOROはもともと大阪・北新地の盛り場で弾き語りをしていた。その歌声に内田裕也がほれ込み、プロデュースすることになったという。

 

お客さん:なるほど。

 

マスター:デビュー目前のある日、内田裕也が仲のいいショーケンにBOROの曲をいくつか聞かせた。すると『大阪で生まれた女』を聞いた瞬間、「あっ、これはあゆみの歌だ!」と言ったそうだ。

 

お客さん:1979年といえば、いしだあゆみと結婚する直前だね。

 

マスター:いしだあゆみは大阪の池田市出身、まさに大阪で生まれた女だ。で、この歌に感動したショーケンが「これボク歌っていい?」と頼み込んだ。内田裕也がBOROに連絡を取ったところ、快くOKしたのだという。

 

お客さん:内田裕也とショーケンに頼まれたら、嫌とは言えないね。

 

マスター:ショーケンバージョンが5月にリリースされた。そして本家本元のBOROにも注目が集まり、3カ月後にリリースされることになった。

 

お客さん:この曲、本当はものすごく長いと聞いたことがあるけど?

 

マスター:フルバージョンは18番まであり、全部歌うとゆうに30分を超える。それはまさに映画のストーリーのようで、高校を卒業したカップルが夢を追って上京、やがて大人になり、ある結末を迎えるまでを切々と歌っている。

 

お客さん:超大作だね!

 

マスター:実はそれだけじゃない。2015年には19番から21番まで続編が作られた。大阪で生まれた女は、還暦を超えた大阪のおばちゃんになっていた。これがまた感動的なんだ。

 

お客さん:それぞれいろんなストーリーがあるんだね。大阪のおばちゃんがパワフルな理由がなんとなくわかるよ。

 

 おっ、次の曲は……。

 

文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中

 

参考:TOKYOMX『ミュージック・モア』(2020年1月18日)

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