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長瀬智也『俺の家の話』第1話が「面白くなかった」と思った人に聞いてほしい話

エンタメ・アイドル 投稿日:2021.01.29 11:00FLASH編集部

長瀬智也『俺の家の話』第1話が「面白くなかった」と思った人に聞いてほしい話

 

 3月末にジャニーズ事務所を退所することが決まっているTOKIO・長瀬智也主演のドラマ『俺の家の話』(TBS系)。

 

 1月22日放送の初回は視聴率11.5%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と好スタートを切ったものの、脚本家・宮藤官九郎(クドカン)の独特なノリが肌に合わなかったり、人間国宝の父を介護するというテーマにのめり込めなかった人もいるかもしれない。

 

 

 もし、1話で見切りをつけて、2話目以降は観なくていいやと考えている方がいたら、ちょっと待ってほしい。

 

 クドカンドラマは、初回はそこまで飛び抜けた面白さはないことがままあるのだが、話数が進んでいくごとに面白さが重層的に高まっていくのである。

 

 長瀬智也が主演し、クドカンが連ドラ脚本を初担当した双方の出世作、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(2000年/TBS系)で、暴力団構成員であるサル(妻夫木聡)の初登場回を例にあげてみよう。

 

 サルが惚れている姫(組長の娘)が行方不明となっていたが、レイプビデオを撮られたあげく、遺体で発見されるという凄惨な展開。サルは姫の殺害犯を殺して穴に埋め、自分は責任を取って指を詰められるという結末だった。

 

 ハードかつシリアスな回でスポットが当たったサルだが、その後は準レギュラーとなり、脱力してしまうようなギャグパートにもサクッと登場するのである。そのキャラのパーソナルな部分やエピソードを存分に深掘りした後に、惜しげもなくコントのようなシーンに使うのがクドカンの真骨頂なのだ(と筆者は思っている)。

 

 同じく長瀬智也主演、クドカン脚本のドラマ『タイガー&ドラゴン』(2005年/TBS系)の林屋亭どん吉(春風亭昇太)は、古典落語一筋の優等生落語家といったキャラだった。

 

 けれど、女性恐怖症のどん吉と、多額の借金を抱えてヤクザに追われている女性との恋愛模様が描かれたエピソードが用意され、そうやってどん吉の深みが描かれた後は、彼がからむなんてことない掛け合いシーンの面白さが増すという構造なのである。

 

■第1話は初期設定紹介の “前振り” にすぎない

 

 クドカンが生み出すアクの強いキャラは、からむ回数が増えるほどに掛け合いの妙も増していく。そうして話数が進むにつれ、ミル・クレープのように面白みの層が積み上げられ、クセになるクドカンワールドが完成するのだ。

 

『俺の家の話』1話では、長男・寿一(長瀬智也)が家に戻ってきたことを心から喜べないでいる妹・舞(江口のりこ)や、寿一を反面教師としてきた弟・踊介(永山絢斗)との関係性がまだ良好とは言いがたい状況。また、父の介護ヘルパーで婚約者となったさくら(戸田恵梨香)が、遺産を狙う “後妻業の女” なのではという疑惑も持ち上がっている。

 

 そのため、まだ主要キャラたちがギクシャク、ピリピリしており、クドカンワールドの掛け合いの妙が、いまいち発揮されていない。しかし、初回は主要キャラたちの初期設定を紹介する顔見せだ。

 

 一見、主人公を快く思ってないように見えたり、嫌味でいけすかなく見えたり、あるいは重苦しい展開のキーマンになりそうだったりしても、言ってしまえばそういった見せ方は丁寧な “前振り” 。

 

 2話以降、主要キャラ一人ひとりにスポットが当たっていき、語られるエピソードでその人物の深みやギャップが周知されていくはず。こうして主人公とのからみの面白さが倍増し、肩ヒジ張らないギャグシーンの練度が高まっていくことだろう。

 

 クドカン作品の第1話で披露される初期設定は、そのイメージを裏切るためにある。序盤の印象を逆手に取り、軽妙な掛け合いに惹きつけるための “前振り” にすぎないので、1話で見切りをつけるのは早計なのだ。

 

 今夜22時から放送の2話、そして来週放送される3話は、きっと1話より数段面白みが増している。

 

●堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

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