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名曲散歩/紙ふうせん『冬が来る前に』ストーブの芯を替えたときに生まれた歌

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.02.07 16:00 最終更新日:2021.02.07 16:00

名曲散歩/紙ふうせん『冬が来る前に』ストーブの芯を替えたときに生まれた歌

 

 東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。

 

お客さん:お、このイントロは紙ふうせんの『冬が来る前に』。息ピッタリのハーモニー、さすがに夫婦だね。

 

 

マスター:1977年にリリースして45万枚のヒット。『ザ・ベストテン』(TBS系)にも出たことがあり、最高順位は8位だった。

 

お客さん:もともと紙ふうせんは『竹田の子守歌』『翼をください』のヒットを飛ばした赤い鳥のメンバーだったよね。

 

マスター:そう、赤い鳥は5人組。1974年に解散した後、後藤悦次郎と平山泰代が結婚し、紙ふうせんを結成した。

 

お客さん:一方の3人は……。

 

マスター:大川茂、山本俊彦、山本潤子はハイ・ファイ・セットとして、洗練された都会派ポップスでそれぞれ人気を博した。

 

お客さん:ハイ・ファイ・セットが『卒業写真』や『フィーリング』でヒットを飛ばすなか、紙ふうせんはしばらくヒット曲がなかったんだね。

 

マスター:2人は関西に拠点を移し、マイペースで仕事をして、徐々に基盤を作っていった。そんなとき『冬が来る前に』が生まれたんだけど、そのきっかけはちょっと意外なことだった。

 

お客さん:意外なこと?

 

マスター:後藤が家の石油ストーブの芯を替えていたところ、遊びに来ていた音楽仲間がピアノであのメロディーを遊びながら弾いていたという。そこに後藤が「♪冬が来る前にストーブの芯替えよう」と遊びで歌詞を入れたところ、「いいねえ!」となり、翌朝、ちゃんと詞を書き直して完成したという。

 

お客さん:まさに『冬が来る前に』やっておく作業から生まれた曲だったのか。

 

 おっ、次の曲は……。

 

文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中

 

参考:富澤一誠『フォーク名曲事典300曲』(ヤマハミュージックメディア)/BSテレ東『大追跡!懐かしのあのスターは今?6』(2019年10月15日)

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