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『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』豊川悦司が伝説の恋愛ドラマと真逆のゲスっぷり

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.03.03 11:00 最終更新日:2021.03.03 11:00

『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』豊川悦司が伝説の恋愛ドラマと真逆のゲスっぷり

 

『愛していると言ってくれ』(1995年/TBS系)ファンにとっては、いろいろな意味で必見となってきた『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系)。

 

『愛していると言ってくれ』『ロングバケーション』(1996年/フジテレビ系)といった往年の名作恋愛ドラマを生み出してきた、脚本家・北川悦吏子がストーリーを手掛けていることで話題を集めている本作。

 

 

 恋愛小説家でシングルマザーの母・碧(菅野美穂)が、大学生でオタクの娘・空(浜辺美波)に彼氏が出来ないことを嘆きつつ、母娘それぞれの恋が描かれてきた。

 

 しかし先々週放送の第6話、先週放送の第7話からテーマがブレてきている。

 

 実は碧と空は血がつながっておらず、本当の親子でないことが発覚。それぞれの恋愛は二の次で、母娘の絆が中心に描かれるようになってきたのである。

 

 さらに言うと『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』というタイトルだが、もう空にはいつでも彼氏ができそうな状況だ。

 

 イケメン整体師の渉周一(東啓介)と空は恋愛感情を抱き合っていてデートもしているし、今や渉のほうが空にフラれるんじゃないかと思い悩んでいるほど。大学のイケメン同級生である入野光(岡田健史)も献身的に空の支えになっており、空に片思いしている。

 

 今ではもうほぼ法律相談なんてしておらず、ただのバラエティ番組と化している『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)ほどではないにしろ、タイトル詐欺感が……。

 

■“いろいろな意味で必見”な理由

 

 だが、タイトル詐欺手法が功を奏しているかもしれない。

 

 本作は、第1話は平均視聴率10.3%と二桁台に乗せていたが、第2話から第6話までは8%台とやや低空飛行を続けていた。しかし先週放送の第7話は9.0%まで上昇。
(※視聴率はビデオリサーチ調べ/平均世帯視聴率/関東地区)

 

 その要因はタイトルを無視して血のつながっていない母娘の絆に物語を路線変更したこと。そして何より、空の父親である一ノ瀬風雅役として第7話から豊川悦司が登場したこと――これが大きなファクターになっているのではないかと考えている。

 

『愛していると言ってくれ』に常盤貴子とダブル主演したのが豊川悦司。豊川悦司も北川悦吏子もそれ以前からキャリアを積んで人気を得ていたが、『愛していると言ってくれ』は双方をさらに飛躍させた作品だった。

 

 そのため北川悦吏子作品に豊川悦司が出るというだけで、『愛していると言ってくれ』ファンには必見なのである。

 

 けれど、本コラム冒頭で “いろいろな意味で必見” とわざわざ回りくどい言い方をしたのにも意味がある。

 

 一ノ瀬は母・碧がかつて本気で愛した男だった。約20年前、小さな劇場で役者をしていた一ノ瀬に碧が惚れて、1週間ともに過ごしたらしい。当時の一ノ瀬のブロマイド写真が出てきたが、そこに写っているのは白いYシャツを着た二十数年前の豊川悦司。

 

 ファンにとっては言わずもがなだが、『愛していると言ってくれ』で豊川悦司が演じた役も白いYシャツをよく着ていて、ある種、トレードマーク。これはもう明らかなオマージュで、『愛していると言ってくれ』ファンへのサービスショットとも言えるだろう。

 

 さて、『愛していると言ってくれ』当時の豊川悦司を彷彿させる一ノ瀬だが、たった1週間で碧の前から突然姿を消したという。碧が一ノ瀬のアパートをつきとめて訪ねると、そこにも一ノ瀬はもうずいぶん帰っていないようで、同棲相手だった恋人が登場する。

 

 その同棲恋人役が、『愛していると言ってくれ』で豊川悦司の義妹役を好演していた矢田亜希子だったのだ。このキャスティングもファンサービスに違いない。

 

 ちなみにこの同棲恋人が空の実の母親なのだが、それはさておき、要するに碧は一ノ瀬に遊ばれただけらしく、碧のようにポイ捨てされた女性は他にも多数いた模様。

 

 そう、一ノ瀬は女たらしのゲス野郎だったのである。

 

『愛していると言ってくれ』で豊川悦司が演じたのは、聴覚障害を持つ新進気鋭の青年画家。白シャツのイメージどおり清廉・誠実で、豊川悦司と常盤貴子が紡いだのは “イノセント” という言葉がぴったりハマるような愛だった。

 

 北川悦吏子が生み出したキャラ史上、豊川悦司が演じたキャラ史上、最も美しい男前だったと考えている方も少なくないはず。

 

 昔のブロマイド写真や矢田亜希子などを登場させて、さんざん『愛していると言ってくれ』感を煽っておいて、今回、豊川悦司が演じるのはイノセントとは真逆の真正ゲスだった。

 

 だが、こんな “裏切り”、嫌いじゃない。

 

 筆者も『愛していると言ってくれ』は大好きでその純愛に涙したクチだが、当時の清廉・誠実キャラを踏襲して豊川悦司が『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』に登場していたら、うすら寒かったかもしれないからだ。

 

 北川悦吏子が過去の栄光にすがりつくことなく、豊川悦司をあえてゲスキャラとして描いたことは、個人的に英断だったと思うし、好感を抱けた。

 

 今夜22時から放送の第8話では、とうとう一ノ瀬と碧&空が対面する。『愛していると言ってくれ』ファンならいろいろな意味で必見である。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

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