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大河『青天を衝け』草なぎ剛の主演感…SMAPバラエティ班から脱却するまで

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.03.07 11:00 最終更新日:2022.06.02 15:49

大河『青天を衝け』草なぎ剛の主演感…SMAPバラエティ班から脱却するまで

 

 “主演・草なぎ剛大河ドラマ” になるんじゃないか……そんな予感もさせる演技だった。

 

 第1話で平均視聴率20.0%の大台に乗せ、先週日曜放送の第3話も16.7%という高水準をキープしている大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)。主演は吉沢亮である。
(※視聴率はビデオリサーチ調べ/平均世帯視聴率/関東地区)

 

 

 2024年度から新一万円札の顔となることが決まっている “近代日本資本主義の父” 渋沢栄一(吉沢亮)の生涯を描く『青天を衝け』で、草なぎ剛が演じているのが “最後の将軍” 徳川慶喜。

 

 徳川慶喜は第3話で次期将軍候補になっているという話を受け、父である徳川斉昭(竹中直人)を前にして、「いいえ。父上は私を傀儡とし、ご自身が将軍になられたいのでありましょう」と言ってのける。

 

 その凛とした眼差しから漏れ出るオーラが凄まじく、バラエティ番組などで見せるのほほんとした草なぎとはまるで違うわけだ。草なぎの演技を憑依型と評する声も多く、演出家・つかこうへいに「大天才」と言わしめたというのも、なるほど、と納得。

 

 第1話で渋沢栄一が徳川慶喜と初対面するシーンでも、草なぎは多くを語らずとも目で訴えかける演技で、場の空気を支配しているように感じた。

 

■高倉健が草なぎ剛のために初・生出演

 

 草なぎは昨年公開の主演映画『ミッドナイトスワン』で、難しいトランスジェンダーの役どころを好演。「ブルーリボン賞」主演男優賞を受賞し、「日本アカデミー賞」の最優秀主演男優賞の候補となるなど、役者として脂が乗っている。

 

 その「ブルーリボン賞」のインタビューで、草なぎは逝去している高倉健、大杉漣に受賞の報告をしたいと述べ、「健さん、漣さんからいただいた要素を膨らませていろんな役ができている」と敬意を表していた。

 

 草なぎは業界の超大物たちから寵愛を受けているが、なかでも高倉健と親睦を深めていたのは有名な話。高倉健の最後の主演映画となった『あなたへ』(2012年公開)で共演し、仲間内数人だけで朝食をともにしたエピソードもある。

 

 しかし何より驚いたのが、情報バラエティ番組『SmaSTATION!!』(テレビ朝日系)に、草なぎのために高倉健がサプライズゲスト出演したこと。

 

 このとき高倉健は、テレビ番組のゲスト出演は15年ぶりで、生放送の出演は初めてだったという。高倉健は半分冗談めかして「本当に出たくない」とつぶやいていたので、草なぎのためにわざわざ出演してくれたのだろう。

 

 草なぎは昭和の名優・高倉健が一目置き、心を許した役者なのである。

 

 言うまでもなく、草なぎは国民的アイドルグループSMAPの一員だった男だ。SMAPの歴史を振り返ると、森且行が脱退する前後の時期は、しばしば木村拓哉、稲垣吾郎は「ドラマ班」、中居正広、香取慎吾、草なぎは「バラエティ班」と呼ばれていた。

 

 だが「バラエティ班」と言っても、草なぎの場合はバラエティスキルが高かったわけではなく、ドラマからお呼びがかからないから便宜上「バラエティ班」に振り分けられていた感じ。ファンの方々はお怒りになるかもしれないが、それが当時の事実だったと思う。

 

 SMAP全体の人気もあり、1997年には草なぎの初主演となるドラマ『いいひと。』(1997年/フジテレビ系)が放送されるが、このときのキャッチコピーは「最初で最後の主役です。」というものだった。

 

 けれどSMAP後期には、木村拓哉と草なぎがSMAPの役者ツートップになっていた。視聴率や興行収入では木村拓哉の実績のほうが華やかだったが、草なぎへの演技の評価としては木村拓哉に負けず劣らず。『いいひと。』に抜擢された頃に、俳優・草なぎ剛がここまで大成すると予想していた人はかなり少なかったんじゃないだろうか。

 

 さて、『青天を衝け』では、徳川慶喜の側近・平岡円四郎を演じる堤真一との共演が、今後ますます多くなってくるだろう。

 

 草なぎと堤真一は単発ドラマ『徳川綱吉 イヌと呼ばれた男』(2004年/フジテレビ系)で初共演し、その翌年、連続ドラマ『恋におちたら~僕の成功の秘密~』(2005年/フジテレビ系)で本格共演。

 

 2010年には双方の希望から実現した舞台『K2』でダブル主演するほど、お互いの演技を認め合っている。そんな両者の掛け合いも今後の見どころのひとつだ。

 

 オフィシャルガイドブック『青天を衝け 前編 NHK大河ドラマ・ガイド』(NHK出版)のインタビューで、「僕自身が分かっていない感じが、慶喜のつかみどころがない雰囲気とリンクしているよう」と語っていた草なぎ。今夜放送の第4話でも、吉沢亮以上に “主演感” のある演技を見せてくれるかもしれない。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

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