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キートン山田「野沢雅子さんが僕を旧芸名で呼ぶ最後の人」…『ちびまる子ちゃん』卒業で語る“声優人生50年”
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.03.18 20:00 最終更新日:2021.03.18 20:00
「後半へつづく」
国民的人気アニメ『ちびまる子ちゃん』の前半パートの終わり、CM前に入るナレーション。この声の主こそ、キートン山田(75)である。
1970年代から、多くのアニメで声優として活躍。『一休さん』の将軍様(足利義満)や、『ゲッターロボ』の神隼人、『サイボーグ009』の004(アルベルト・ハインリヒ)……。山田俊司(旧芸名)の声で育ったアニメファンは多い。
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1990年ごろからはナレーターとして活躍し、多くの番組で飄々とした美声を聞かせてくれたが、3月28日で引退する。
「『ちびまる子』だけで丸31年、デビューから考えると50年以上になります。ずいぶん長く続けましたね」
キートンは北海道出身。高校卒業後、就職のために上京し、サラリーマンになった。
「朝8時から17時まで、建設の関連会社で生コンを造る仕事でした。高度経済成長期で、ものすごく忙しくて。現場に行くのは楽しかったんですが、『これ一生やんのかな』って。そう思ったときに、あるきっかけがあって、劇団に入ることになったんです」
当時所属していたのが、「劇団がらくた工房」。『ドラえもん』の「スネ夫」役でお馴染みだった故・肝付兼太さんとも共演していた。サラリーマンと役者の掛け持ちを4年ほど続け、退職して劇団に専念することにしたころ、運命的な誘いを受ける。
「あのころは、声優なんて仕事はまだ影も形もない時代。ましてやナレーションなんてね。そこに、声優専門プロダクションの草分けになった青二プロダクションができたんです。先輩俳優の柴田秀勝さん(『タイガーマスク』のミスターX役などで知られる重鎮声優)に誘われたんです。
ちょうど、東映動画がアニメをたくさん作っている時期で、いろんなお仕事をして、いっぱい勉強させてもらいました。野沢雅子さんや永井一郎さんら、先輩たちは色が濃くて、僕なんか『個性がない』って言われたくらいでしたから(笑)」
前出の作品以外にも、『宇宙戦艦ヤマト』や『超電磁ロボ コン・バトラーV』『ベルサイユのばら』『機動戦士Zガンダム』など、有名作品に多数出演した。しかし、徐々にアニメの仕事が減り、36歳のころには生活が苦しくなったという。
「声優の数がどんどん増えて、後輩が育って自分の居場所がなくなっていったんです。もろもろが重なってレギュラーがなくなり、バイトしないと食えない。家の中で内職したりしてね。
カラオケパブが増え始めたころで、司会の仕事なんかもしてました。2年くらいはそんな生活で、もう役者もやめようかなって思ってたんです」
諦めかけた38歳のとき、思い切って芸名を「キートン山田」に改名する。
「『お前、何ふざけてんだ』って、みんなに言われました(笑)。でも改名したおかげで、『MASTERキートン』のナレーションの仕事が来たりしました。狙いとしてはね、自分の芸風を表わしたかったんですよ。やっぱり喜劇、おもしろいことが好きなんでね」
改名後は試行錯誤を繰り返し、番組のナレーションを多数担当するようになっていく。
「最初はテレビ東京の情報番組の仕事が来たんですが、ナレーションのやり方なんて習ってないから、大変。映像素材を見てその場で当てていくし、当時の原稿は手書きですから、読みづらい字でね(笑)。
数時間後にはオンエアですし、間に合わないときは収録中に生でナレーションしてたんですから、相当鍛えられましたよ」