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名曲散歩/Johnny『ジェームス・ディーンのように』もともとは「トラボルタのように」だった
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.03.21 16:00 最終更新日:2021.04.10 14:08
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロはJohnnyの『ジェームス・ディーンのように』。横浜銀蝿のボーカル・翔とはタイプの違う、ちょっと甘い歌声にシビれたもんだ。
マスター:1981年、ギタリストJohnnyのソロデビュー曲で、八千草薫主演のドラマ『茜さんのお弁当』(TBS系)の主題歌としても知られている。
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お客さん:横浜銀蝿の曲といえばやんちゃなイメージだけど……。
マスター:銀蝿のやんちゃ系の曲は翔がメインで書いていたんだ。一方、Johnnyはもともとメロディアスな楽曲作りが得意だったという。
お客さん:ソロではその才能をいかんなく発揮した形だね。
マスター:ところでこの曲、もともとのタイトルは『ジェームス・ディーンのように』ではなかったという。
お客さん:“何のように”だったの?
マスター:『トラボルタのように』にしようと考えていたそうだよ。
お客さん:映画『サタデーナイト・フィーバー』のジョン・トラボルタ?
マスター:そう、この数年前に『サタデーナイト・フィーバー』が大ヒット。トラボルタが演じたのは普段はさえない塗装工だけど、土曜の夜だけはダンスで光るという
役どころね。そんな自分の得意分野に情熱をかける素晴らしさをモチーフに曲を作ったそうだ。
お客さん:なるほど。
マスター:でも、ジェームス・ディーンの方がかっこいいかも、と思い直してタイトルを変えたそうだ。
お客さん:今となってはこっちのほうがしっくりくるね。
マスター:そんなJohnnyは横浜銀蝿の解散後、ソロ活動を経て裏方に回った。
お客さん:裏方?
マスター:1988年、「音楽史に残るアーティストを作ろう」とキングレコードに入社。中山美穂らの楽曲をディレクターとして支え、植村花菜『トイレの神様』にも携わったという。
お客さん:そうなんだ!
マスター:2013年からは系列のベルウッドレコードの社長として辣腕をふるっている。
お客さん:去年から今年にかけて横浜銀蝿も結成40周年で復活し、グレイヘアをリーゼントで決めているJohnnyがカッコいいんだ!
おっ、次の曲は……。
文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中
参考:『朝日新聞』2020年5月2日/富澤一誠『J-POP名曲事典300曲』(ヤマハミュージックメディア)