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『天国と地獄 〜サイコな2人〜』謎を回収してくれよ…視聴者をバカにしすぎな真相

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.03.22 13:25 最終更新日:2021.03.22 13:25

『天国と地獄 〜サイコな2人〜』謎を回収してくれよ…視聴者をバカにしすぎな真相

 

※本コラムにはドラマ『天国と地獄 〜サイコな2人〜』(TBS系)のネタバレがあります。ご注意ください。

 

 一言で言うと、なんだか雑な話だったなぁ……というのが率直な感想だ。

 

 1月スタートドラマで視聴率トップを独走していた『天国と地獄 〜サイコな2人〜』が、昨晩、最終回を迎えた。

 

 

 綾瀬はるか演じる刑事・望月彩子と高橋一生演じる殺人鬼(?)・日高陽斗の魂が入れ替わってしまうというスイッチ・サスペンスは、SNSを中心に視聴者たちの考察合戦で盛り上がった。

 

 誤解なきように伝えしておくと、とても面白いドラマだったことは間違いない。特に第8話までは筆者もかなりのめりこんでいた。

 

 だが事件の真相が描かれた第9話・第10話(最終回)、このラスト2回の肩透かし感はなかなかのもの。

 

 本作は謎が謎を呼ぶ展開が話題となり、視聴者たちを引き込んでいったのだが、その “謎” の提示が雑だったり、ご都合主義的だったり、誇大広告ぎみだったりしたのである。

 

 え、あの思わせぶりな態度はなんだったの?

 え、そんなことがあの言動の理由だったの?

 え、意味深だったあの演出はなんだったの?

 

 ……というようなことが、最終回を観終わったいま、てんこ盛りなのだ。

 

■脚本家・制作側のご都合主義が炸裂

 

 まず、第1話のラストで望月と日高の体が入れ替わってしまうのだが、日高は入れ替わった直後から冷静沈着で、望月の体で自分の目的を達成するための行動を迅速に起こしていく。

 

 こんな非現実的な魂の入れ替わりを、とてもあっさり受け入れる日高。まるで以前にも入れ替わりを経験しているかのような言動・演出が数多く描かれていた。視聴者たちの考察でも、日高は過去にも入れ替わり経験があるという説がかなり飛び交っていた。

 

 しかし、結局、日高は奄美大島に伝わる「太陽と月の入れ替わり伝説」を軽~く知っていただけ。おとぎ話のような伝承をちょっと小耳に挟んだ程度なのに、あの入れ替わり後の適応力の高さは異様。

 

 日高がもともと女だったのではないかと思える描写もかなり多かった。これは日高が同性愛者だった、ということなのか?

 

 また、第1話では日高がアメリカ・ボストンの研究室にいた当時も、複数の女性が殺害された連続殺人犯の疑いがかけられたというエピソードが語られた。アメリカの事件がきっかけで日高の殺人容疑が濃厚になったのだが、このアメリカの話はその後に触れられることなくスルー。

 

 日高が高校時代、近所の老人が転落死したエピソードも、日高が殺したのではないかという疑惑があったが、この話もその後一切触れられずスルーされた。

 

 日高がサイコパスな殺人鬼だと視聴者をミスリードするためのエピソードだったのだろうが、きちんと回収してほしかった……。

 

 日高の双子の兄で真犯人だった東朔也(迫田孝也)の言動についても、一応の説明はされているが、違和感が多すぎる。

 

 たとえば、物語の重要なカギを握ると思われていた『暗闇の清掃人Phi』というマンガ。第1話冒頭からマンガをもとにしたアニメーションが劇中で流れており、その後もたびたび重要シーンでそのアニメーションが入るため、真犯人の根幹に関わるものだと思っていた。

 

 しかしこのマンガ、ある殺人事件の犯人が描いたもので、清掃業者だった東はその殺人犯が自殺した部屋をたまたま清掃した際に、見つけて持ち帰っただけ。超・意味ありげにわざわざアニメーションが挿入されていたマンガの作者は、東にも日高にも無関係な他人(殺人犯)だったのだ。

 

 また、東は殺人予告を示唆した数字を歩道橋の壁に書いて日高に伝えるため、わざわざ別の人間を雇って数字を書かせ、また別の人間に消させていた。

 

 これについても一応の理由づけはされているが、なんでそんな回りくどい方法を選んだのかが腑に落ちない。なにより日高がその数字に込められたメッセージをきちんと見て理解してくれるか、めちゃくちゃ不確かな方法なのである。

 

 他にも、細かい部分だが、日高がかつて奄美大島に一人で訪れたときに「東朔也」と名乗っていた理由も一応説明されたが、なんだか強引な気がしてならなかった。

 

――要するに、視聴者に “謎” を与えるためだけに、登場人物たちの言動が不自然きわまりないシーンが多々あったわけだ。

 

 取ってつけたような理由づけや説明はされたが、脚本家・制作側のご都合主義的な強引さがそこかしこにあり、萎えてしまったのが正直なところ。思わせぶりな展開やミスリードで視聴者を惹きつけたかったのはわかるが、風呂敷を広げすぎて中身(事件の真相)がしょぼく感じられてしまった。

 

 本当にハマッたドラマだっただけに、残念だ。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

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