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名曲散歩/庄野真代『飛んでイスタンブール』もともとは野口五郎のために書かれた曲
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.04.04 16:00 最終更新日:2021.04.04 16:00
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロは庄野真代の『飛んでイスタンブール』。イスタンブールがどこにあるのかわからなかったけど、エキゾチックなサウンドに心が躍ったなあ。
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マスター:1978年、庄野真代の5枚目のシングルで60万枚を超えるヒット曲となった。
お客さん:おしゃれなお姉さんが歌う、おしゃれな歌だった。
マスター:1976年にデビューした庄野真代のキャッチフレーズは「ジャズの匂い、褐色の声、愛のシンガー・ソングライター。庄野真代」だった。
お客さん:フレーズが渋滞しているね。
マスター:2曲目までは自分で作詞作曲していたんだけど、パッとしなかった。
お客さん:なるほど。
マスター:そのあと、3曲目がユーミンの『中央フリーウェイ』、4曲目が堀内孝雄作曲の『ラスト・チャンス』。
お客さん:大ヒットとはいかないか……。
マスター:そこで5枚目はヒットメーカーの筒美京平にお願いすることになった。筒美はまだ歌詞がついていない状態の『飛んでイスタンブール』を含め、3曲提示してくれたという。
お客さん:3曲も。
マスター:ひと晩考えさせてほしいと申し出た庄野真代は、翌朝、目覚めると自然に『飛んでイスタンブール』のメロディーを口ずさんでいた。
お客さん:まさにこの曲に決まった瞬間だ!
マスター:実はこの曲、もともとは筒美京平が野口五郎のために書いていたんだけど、女性ボーカルの方が合うだろうと、机にしまい込んでいたそうだ。庄野本人もだいぶたってから知ったそうだよ。
お客さん:野口五郎バージョンも聴いてみたかったけど、これはやっぱり庄野真代だね!
おっ、次の曲は……。
文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中
参考:富澤一誠『フォーク名曲事典300曲』(ヤマハミュージックメディア)/『昭和40年男』Vol.37(クレタパブリッシング)