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蓮佛美沙子のアラサー恋愛論「『おいで』って言われるのが、昔から好き」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.04.14 11:00 最終更新日:2021.04.14 11:00
4月7日(水)からドラマParavi枠でスタートした『理想のオトコ』(毎週木曜0:40〜1:10、テレビ東京系)。原作はチカ著の同名マンガで、LINEマンガにて連載開始以来、累計閲覧数は380万回を突破した人気作。
主演を務めるのはテレビ東京のドラマ初出演にして初主演となる蓮佛美沙子。
30歳を過ぎてもまったく男っ気のなかった美容師の小松燈子が、10歳年上のマンガ家と出会い、かつて親しくしていた高校の同級生との数年ぶりの再会を経て、突然 “モテ期” がやってくる…というドラマ。
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主人公の燈子を演じる蓮佛美沙子に、ドラマについて、アラサー女子の恋愛について、デビュー15年を迎えた女優業について話を聞いた。
――今作品はテレビ東京のドラマに初出演で初主演となります。お話をいただいたときの気持ちは?
「嬉しかったです。テレビ東京さんはオリジナリティのある攻めた作品を作っていらっしゃる印象が強かったので、そのなかに入れるというのがものすごく楽しみでした。
じつは私は、ここまで恋だけに邁進するド直球の恋愛ドラマは演じたことがなかったので、ワクワク感しかありませんでした」
――原作の『理想のオトコ』は、主人公と同年代の女性にとても共感されています。蓮佛さんは原作を読まれて、どう思いましたか?
「私も主人公の燈子と同じく、アラサーと呼ばれている世代なので、共感できる部分はものすごくありました。
10代や学生のころは『好き』っていう気持ちだけで動けていたことでも、この年代は “結婚” という2文字が出てきたり、いろんなことを頭で考えてしまって、行動できなくなっちゃう。
マンガのなかで茉莉沙(燈子の親友で既婚編集者)のセリフで、『好きだけじゃダメ、でも好きじゃないのも、もちろんダメ』っていうのがあって、はぁーって思っちゃいました(笑)。
大人だから言える言葉、大人の恋愛経験者だから出てくる言葉だなって。
世間体や仕事のこと、いろんなことを考えなきゃいけない大人だからこそ、恋愛についても一度立ち止まって考えようみたいな感じは、すごいわかるなって思いました。だからよりたくさんの方に響く作品なんだろうなと思います」
――男性が見ても楽しめますか?
「男女問わず、大人の恋愛のおもしろさがこのドラマにはあります。大人だからこそ好きって認めにくかったり、その気持ちに気づいたとしても伝えられなかったり、“大人だからこそのもどかしさ” がたくさん描かれています。
登場人物に親近感があり、実際にいそうなタイプなので、男性の方にも『俺ならこうするな』とか『その気持ち、よくわかる』みたいに、一緒に『理想のオトコ』の世界観に入っていっていただけたら嬉しいです」
――演じる燈子と似ている部分はありますか?
「私は根が慎重派で、昔からいろいろと考えてから動くタイプなんです。気軽に行けないあたりは似ているかな。
相手はどう思っているんだろうって考えると、傷つきたくない、怖いというような感情が先行してしまうのは、昔の自分を見ているような気がします。
歳を重ねて、恋愛に攻めるようになったかどうかですか? 私としてはメールを送るだけでも頑張った感じなので、攻めるところまでは行ってないです(笑)」
――ドラマのタイトルが『理想のオトコ』です。蓮佛さんにとって理想のオトコとはどんなタイプ?
「男女、年齢問わず、頼りがいのある人は好きになりますね。自分をよく見せようという感じのしない人、自然体の人が好きです。
でも理想のタイプと言われると……。好きになった人が理想のタイプなのかな。
ふたりの関係を築いていく上で理想だなって思うのは、持ちつ持たれつというか、お互いに思い合って、言いたいことは言えて、お互いにないところは補い合って、向き合うことから逃げない人。
ここは私のなかでは絶対に譲れないところで、向き合うことをあきらめられちゃったら、たぶん、すごい勢いでシャッターが降りちゃいます(笑)」
――男性の仕草は言葉でキュンとすることは?
「『おいで』って言われるのが、昔から好きなんです。ふだん甘えたい願望があるわけではないんですけど、なんか甘えたい気持ちになるというか……。
たまに衣装さんとかに『ちょっとおいで〜』って言われることはありますが、つきあっていないと、この言葉を言われるシチュエーションってあまりないですよね」
――アラサーになった燈子に突然 “モテ期” がやってきます。蓮佛さんにモテ期がきたら、どう対処しますか?
「私にはモテ期がなかったので、贅沢な悩みですね。どう対処するかですか?
自分を好きだと言ってきてくれた人のなかに、自分が好きだと思える人がいなかったら、全員に “ごめんなさい” って言うかな。
よくわからないけどつきあってみようかな、っていう気持ちがわからないんですよね。だから迷ったりはしないと思います」
――今年でデビュー15周年を迎えます。15年を振り返ってみてどう思いますか?
「あっという間といえばあっという間ですけど、それなりにしんどいなーって思った時期もありました。ここ数年ですごく思うことは、私は本当にまわりの人に恵まれていて、年々生きていくことが楽になってきたなって。
以前は怖いっていう気持ちが強かったんです。
たとえば間違えたらどうしよう、舞台でトチったらどうしようっていうことを先に考えちゃって、マイナスから入る感じだったんです。
でも、いろいろな出会いや経験を重ねて、間違えてもすべてが終わるわけじゃないんだから大丈夫って思えるようになりました」
――気持ちがマイナスからプラスになるようになったきっかけや作品、監督からの言葉などがあれば教えてください。
「いっぱいありすぎて絞れないです。3作目の映画出演だった『転校生―さよならあなた―』(2007年公開)で、それこそ初めて主演をやらせていただいたときに、大林宣彦監督に芝居の基礎を教えていただいたんですね。
それまではあまり楽しくなかったんですけど、はじめて、『ああ楽しい。ずっとお芝居をしていたい』って思えて。それは私にとってすごく大きかったです。
あとは舞台ですかね。もともと緊張しいなのとマイナス思考を克服したいという気持ちもあって、挑戦してみようと。
それで『リトル・ナイト・ミュージック』(2018年上演)というミュージカルに挑んだんですが、これが見事に大負け、挫折しました(笑)。喉を壊して声が出なくなって、大泣き。もう無理だってどん底みたいな経験をしました。
でも、そこから逃げたくなかったんですよね。それで、次のミュージカル『ドン・ジュアン』(2019年上演)に挑んだら、主演のKis-My-Ft2の藤ヶ谷(太輔)くんが、はじめてのミュージカルでわからないことだらけなのに、必死にやっている姿を見て、私の不安なんてたいしたもんじゃないなって思えて。
そのおかげで、『リトル・ナイト・ミュージック』のトラウマを超えることができたんです。いろいろな作品や多くの人と出会ったおかげで、マイナス思考から完全に抜け出せたのかなって……。そう思えるようになったのは本当にこの1〜2年ですね。
まだ完全にトラウマがゼロになったわけではないんですが、この1〜2年で舞台という生ものの芝居をやって、自分の弱さと向き合わざるを得なかったことで、強くなったのかなって思います」
――「女優」という仕事を改めて考えると、どんな仕事だと思いますか?
「ちょっとスピリチュアルに聞こえてしまうかもしれませんが、いろんな人の人生を生きられる仕事なので、やればやるほど味方が増えるというか。
いままでやってきた役は実際にはいないんだけど、魂みたいなものはどこかにあると思っていて、どんどん自分の厚みが出てくる気がするんです。
あと、特にこのコロナ禍で思うのは、作品を届けることでいい意味で気持ちが緩んだり、ホッとしたり、癒やされたり、何かを考えるきっかけになったり……。
心が豊かになるって、必要不可欠なことだと思うんです。それを届けられる尊い仕事だなって……。この1年で、よりそう思うようになりました」
写真・木村哲夫(特写)
プロフィール
れんぶつみさこ
1991年2月27日生まれ 鳥取県出身 2006年公開の映画『犬神家の一族』でデビュー。2007年、映画『転校生―さよならあなた―』で映画初主演を果たし、「キネマ旬報ベスト・テン 日本映画新人女優賞」「第22回 高崎映画祭 最優秀新人女優賞」受賞。2020年はドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)、『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)などの話題作に出演。映画『天外者』では主人公・五代友厚の妻、豊子を演じた