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宗教学者・島田裕巳が「オンラインサロン」に潜入取材…西野亮廣は「教祖」なのか?

エンタメ・アイドル 投稿日:2021.04.14 14:29FLASH編集部

宗教学者・島田裕巳が「オンラインサロン」に潜入取材…西野亮廣は「教祖」なのか?

吉本興業を退社する前日の西野

 

 西野は、投稿を通してだけではなく、リアルタイムでメンバーに語ることもある。一度私はそれを見た。西野は、今自分が進めている事業について語っていたが、それに対して、メンバーからはチャットによる反応がある。

 

 彼は、それを見ながら話していて、関心を呼ぶようなチャットには直接反応していた。そのなかで、これがこのサロンの魅力なのだろうと思わせたのが「速さ」だった。

 

 それは夜の9時半近くではなかったかと思うが、突然、「では10時からエンタメについての作戦会議をZoomでやろう」と言い出した。それは10名限定で、参加費は5000円だった。集まった金は、ミュージカルをやるときの弁当代にするとも言っていた。

 

 果たして集まった金がそうした使い方をされるのかはわからないが、西野のサロンにはスタッフがいて、すぐに会議ができる用意をしたようだ。

 

 普通、何か物事を決めるには、それ相当の時間がかかる。意見が割れて、実現しないこともある。根回しも必要だ。

 

 ところが、西野のサロンでは、それを動かしているのは主宰者である西野本人だけなので、決定は即座になされ、すぐに実行に移される。そのスピード感に引きつけられるからこそ、多くの会員が生まれるのだろう。

 

 西野のサロンは、現実の社会と根本的に違うという点で、会員にとっては一種のユートピアになっている。ライブ配信を見て、私はそのように感じた。

 

 そのことは西野のサロンの会員になって、対面でのイベントに参加した経験を持つ人に話を聞いて、さらに確信できるようになった。その人物は、西野の投稿を読むだけではなく、会員の一人が開催したオフ会にも参加したという。

 

 集まってきたのは、ほとんどがそれまで付き合いのなかった人間たちで、初対面であった。ところが、初対面であるにもかかわらず、話がはずみ、昼前にはじまった会は夜まで続いたという。

 

 普通だとあり得ないことだというのが、その人物の感想だった。

 

 オフ会というのは飲み会でもあるわけで、普通ならそこにいる人間は愚痴をこぼすことになりやすい。愚痴を言いたいがために、そうした会に参加するという人たちも少なくない。

 

 だが、そのオフ会では、愚痴など出なかった。皆、前向きで、そうした話しかしなかったというのだ。

 

■愚痴に満ちた「煙突だらけ」の社会

 

「前向き」がオンラインサロン全般に共通する特徴でもあるようだが、西野の言動も影響している。西野は、どうしたらエンタメの事業がうまくいくのかを語り、またその成果について言及している。

 

 サロンの会員が求めるのも、物事を前向きにとらえるということであり、愚痴を言い合うことではない。そうしたことがオフ会にも反映されていることになる。

 

 私はその話を聞いて、『えんとつ町のプペル』の舞台が煙突だらけの町に設定されていることとの関連性に気づいた。

 

 西野にとって、煙突だらけの世界は、愚痴に満たされた一般の社会なのだ。社会は煙突から出てくる煙で覆われており、青い空を見ることができない。そんな世界観が、彼の根本にあるようなのだ。

 

 それをいかに突き破るのか。それが絵本や映画の描き出そうとすることであり、サロンが目指すところもそうなのである。だからこそ、サロンは一種のユートピアになるのだ。

 

 そうであれば、西野はそのユートピアを生み、支えている教祖のような存在なのだろうか。「西野があなたを意識する権」の話を聞くと、彼は教祖化の道を歩んでいるようにも見える。

 

 しかし、前出の人物の話によれば、会員のあいだで西野の話が出ることはほとんどないし、オフ会に西野本人がいても、全体の注目をさほど集めないという。その点では、西野が教祖への道を歩んでいるわけではないようなのだ。

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