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「赤井秀一」VS.「煉獄杏寿郎」のサブキャラ対決が鍵…『名探偵コナン』の新作映画は『鬼滅の刃』を超えられるか?

エンタメ・アイドル 投稿日:2021.04.26 06:00FLASH編集部

「赤井秀一」VS.「煉獄杏寿郎」のサブキャラ対決が鍵…『名探偵コナン』の新作映画は『鬼滅の刃』を超えられるか?

4月6日、劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』の試写会でおこなわれた舞台挨拶。コナン役の高山みなみ(中央)、ゲスト声優で女優の浜辺美波(右から2番め)らが登壇した

 

 4月16日に公開された劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』。当初は2020年に公開予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、“1年越し” で公開された同作は、封切り初週末の映画動員ランキングで首位を獲得した。初日から3日間の累計観客動員は153万人、興行収入は22億円を突破している。

 

 一方、2020年秋に公開され、近年のアニメ映画のトップを独走する『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、累計で観客動員2876万人、興収397億円を突破し、GW明けには興収400億円が確実といわれる快進撃を続けている。

 

 

 作品の “蓄積力” でリードする『コナン』は、『鬼滅』の大記録に追いつけるのか――。今回、本誌はアニメ研究家の津堅信之氏に、2作の内容と興行収入について比較してもらった。

 

「『鬼滅』も『コナン』も、原作は週刊少年誌に掲載されている漫画で、それがテレビアニメシリーズとして映像化され、さらに映画版になったところは共通しています。

 

 しかし、この2作には、成り立ちに大きな違いがあります。『鬼滅』が原作の途中で終わってしまったテレビシリーズの続編として制作され、あくまで原作に沿った映画化であるのに対し、『緋色の弾丸』を含む劇場版『コナン』は、原作の設定とキャラクターを使いながら、劇場版オリジナルのエピソードをもとに映像化されたものです。

 

『コナン』のスタイルのほうが、原作やテレビシリーズを見ていなくても楽しみやすい場合が多く、現実に、原作連載開始から25年以上経つ『コナン』はすでに、親子2代で楽しむコンテンツになりました。そのため、劇場の観客の年齢層も幅広くなっています。

 

ただし劇場版『コナン』も、1作ずつが完全には独立していません。登場するサブキャラクターなど、連続して見ているほうが楽しめる作りになっており、制作者の工夫が感じられます」

 

『コナン』には「赤井秀一」、『鬼滅』には「煉獄杏寿郎」という、ともにカルト的な人気を誇るサブキャラクターが登場する。この2人の違いも、作品性の違いを浮き彫りにする鍵だと、津堅氏は語る。

 

「赤井秀一も煉獄杏寿郎も、主人公(竈門炭治郎と江戸川コナン)に深く関係するキャラクターで、ともに作中で重要な役割を果たします。これは日本のアニメにおいて、定番の設定です。

 

 主人公のライバル的存在としてのサブキャラ、これは『コナン』の赤井に顕著ですが、主人公の活躍を際立たせながら、特有の魅力をもたせる役割を担っています。江戸川コナン=工藤新一は、ある意味で “完成した” キャラクターであり、周囲のサブキャラはそれぞれ役割分担がはっきりしていて、いずれも『コナンを高めるための存在』であると同時に、サブキャラにも多くのファンがつきます。

 

 赤井の潮流を遡ると、古くは『ガンダム』シリーズの『シャア・アズナブル』に突き当たります。シャアは主人公の敵でありながら二面性や憂いがあり、『美形キャラ』としても人気を集めるようになりました。ちなみに赤井の声を担当するのは、シャアを演じた池田秀一さんで、そんなところにも伝統を感じられます」

 

 では、5月10日に「生誕祭」の開催も叫ばれている、『鬼滅』の煉獄はどうか。

 

「主人公の『指導者』としてのサブキャラという潮流も存在し、炭治郎と煉獄との関係は、こちらにあたるでしょう。コナンと比べると、炭治郎は未完成で修行中のキャラクターであり、彼を見届けて、道筋を指し示す先達の存在が必要だった、ということです。

 

 赤井と煉獄の違いは、ファンが抱く『憧れ』の質の違いでもあります。赤井に対しては『近づきがたい、現実離れした存在』というカッコよさを感じ、煉獄に対しては『あんな先輩、上司がいてくれたらいいな』という敬意を感じます。とくに煉獄は、日本のアニメが培ってきた独特のキャラクターデザインだと思います」

 

 以上を踏まえ、肝心の興収合戦は、どうなるのだろうか。

 

「『コナン』も、好調な幕開けです。前作『紺青の拳』(2019年)はトータルで興収93億7000万円と、あと一歩で100億円の大台を逃しましたが、今作は、緊急事態宣言発出による影響は無視できないながら、前作を超える可能性も大いにありえます。

 

 400億円突破が確実視されている『鬼滅』も、まだ上映が続いていますので、さらに興行収入を伸ばす可能性は十分にあります。ただし、『鬼滅』が、なぜ400億円近い興収になったのか、その理由については、充分な分析がされていません。

 

 2020年秋の公開時に、コロナによる他作品の公開延期などがあり、映画館で多くのスクリーンを占めることができたのが『鬼滅』の成功の要因のひとつといわれています。そして『コナン』も公開直後から、たとえばTOHOシネマズ新宿で1日に31回上映がおこなわれるなど、似たような現象が起きています。『鬼滅』の実績との、いい比較例になりうるでしょう。

 

 2020年、彗星のように現れた『鬼滅』には空前絶後の熱狂がありましたが、劇場版だけでも23作を数え、固定ファンがはっきりしている『コナン』は、大台の100億円を超えたあと、どのくらい伸びるかが注目です」

 

 初心者の入りやすさでは、『コナン』が優位に立ちそうだ。“シャアの伝統” がどこまで煉獄に肉薄できるかに、勝負の行方はかかっている――。

 

写真・時事通信

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