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川口春奈『着飾る恋には理由があって』“承認欲求強め女” の生き様に “人間の業” を見る

エンタメ・アイドル 投稿日:2021.04.27 11:00FLASH編集部

川口春奈『着飾る恋には理由があって』“承認欲求強め女” の生き様に “人間の業” を見る

 

 先週火曜放送の第1話の視聴率は9.1%。TBSが誇る看板恋愛ドラマ枠での放送ということを考えると、川口春奈主演のドラマ『着飾る恋には理由があって』は少々寂しいスタートとなった。

 

「火曜ドラマ」と呼ばれるTBS系・火曜22時のドラマ枠は、2016年に最終回視聴率20.8%を叩き出した『逃げるは恥だが役に立つ』が大ヒット。それ以来、最終回視聴率15.4%の『恋はつづくよどこまでも』(2020年)、最終回視聴率19.6%の『私の家政夫ナギサさん』(2020年)、最終回視聴率13.2%の『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(2021年)など、ラブコメドラマのヒットを量産しているのである。
(※視聴率はビデオリサーチ調べ/関東地区/平均世帯視聴率)

 

 

『着飾る恋には理由があって』は、SNSのフォロワーが約10万人もいる真柴くるみ(川口)が主人公。ネット通販で人気を集めるインテリアメーカーの広報で、凝り固まった価値観という鎧をまとった “着飾る女” という役どころだ。

 

 シェアハウスに住むことになったくるみが、同居人のミニマリスト男・ 藤野駿(横浜流星)や、くるみが憧れる勤め先の社長・葉山祥吾(向井理)らとの恋愛模様が描かれていく。

 

 果たして2話目以降、視聴率を二桁台に乗せ、「火曜ドラマ」の名に恥じぬ結果を残せるか、注目である。

 

■承認欲求が強くてもいいじゃない、人間だもの

 

 言わずもがなだが、ドラマは多くの視聴者が主人公に共感できるかどうかが重要なファクターになってくる。

 

 川口演じる主人公・くるみは、自社に貢献したいと考え、宣伝を兼ねて始めたSNSのフォロワーが約10万人もいるインフルエンサー。しかし、フォロワー数獲得のため、1日何度も更新するルールを自分に課していることもあり、スマホを肌身離さず持っており、SNSに縛られて窮屈そうにも見える。

 

 要するに、くるみは “承認欲求強め” 女子。

 

 だが、今はSNS全盛の時代だ。フォロワー数の多寡で一喜一憂し、その多さが自身のアイデンティティになっている若者も多いだろうから、共感は得られやすいだろう。

 

 一方、横浜演じる駿はくるみの真逆のタイプで、物理的にも精神的にもシンプルな生活を追求するミニマリスト。スマホは家に置いたまま持ち歩かないし、SNSをはじめとするネット情報にもまったく興味なし。他者の価値観に左右されず、己の価値観のみを信じて貫く男だ。

 

 そんな自分と対極にいるような駿に影響され、くるみが “着飾る” という鎧を脱ぎ捨て、自分らしく生きる姿を描いていくのだという。

 

――ここで、そもそもの話をしておきたい。

 

 ミニマリストの駿はSNSやネットなんかには縛られず、他己評価は気にせず自己評価で自由に生きていこうとしている。確かに他人の目ばかりを気にしてストレスを溜め込むのは精神衛生上よくないだろうし、駿のように達観できるのはいいことかもしれない。

 

 でも、筆者はくるみのように、他己評価ばかり気にして、他者から認められたい欲にまみれた人間も、嫌いじゃない。というか、むしろそっちのほうが人間らしくて好感が持てる。

 

 なんだか悟りきったような駿は人間としてくるみより成熟しているのかもしれないが、誰しも駿のように悟りを開けるわけでもない。また、成熟することが必ずしも正しいこととも思わない。

 

 そもそも人間なんて欲深くて愚かで醜い生き物なんだから、自分の欲求・欲望にあらがえなくても仕方ない。それでいいじゃないかと思う。

 

 承認欲求を満たすために、SNSのフォロワー増やしに躍起になるなんてくだらないことだ。しかし、そんなくだらないことをしてしまうのが人間なんじゃないだろうか。くだらないことから抜け出せないほうが、人間らしいと言えるんじゃないだろうか。

 

 このドラマは主人公がSNSのしがらみなどを捨て去って、承認欲求から解放されていく物語なのかもしれないが、人間誰しもがそうやって成長できるわけではないだろう。欲まみれで愚かしいままでも、それはそれでいいと思う。

 

『着飾る恋には理由があって』は一見ライトなラブコメ作品のように見えるが、意外と人間の業に迫る奥深いドラマになるのかもしれない。

 

 第2話は今夜22時から放送だ。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

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