4月28日、都内で映画『はるヲうるひと』完成記者会見がおこなわれ、佐藤二朗、山田孝之、坂井真紀らが出席した。
この作品は「架空の島の売春宿で生きる男女が、生き抜こうともがく闘い」のストーリーで、すでに佐藤が主宰する劇団ユニット「ちからわざ」で2009年に初演、2014年に再演されている。今回、原作・脚本・監督を務める佐藤が映画化を熱望し、5年かけて完成した。
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冒頭、佐藤は「今日、妻から『作品の内容を考えて、一切おちゃらけるな!』と言われて出てきましたので、監督らしい感じで進めていけたらと思っています」と神妙に話しだす。
主演の山田孝之は、出演を決めた理由について「脚本を読んで、めちゃくちゃ面白かったのと、(役の)得太がかわいそうで仕方なかったので、誰かが寄り添ってやらないといけないと思って。むろん、二朗さんが監督ということもあります」と話すが、実は一度、オファーを断ったのだという。
その理由は、全編を通して話す必要のあった関西弁で、いくら方言指導がついても、「意識しながらやるには無理だと思ったから」。だが、結果的には標準語でもいいとなってオファーを受けたという。
山田は、関西人の俳優がやるべきだと考えたが、その後、佐藤に「これ標準語じゃダメですか?」と聞いたのだという。佐藤は、「俺、孝之は日本最高峰の俳優だと思っているので、孝之がやってくれるならと設定を書き換えたんです。その代わり、島にいる女郎たちはいろんな方言を使うよう書き換えました。特に真紀ちゃんは大変で、僕の架空の方言で、でも一字一句間違えずに覚えてきてくれたんです」と話した。
坂井は方言について「二朗さんが素晴らしい脚本を書かれたので。最後の語尾を聞くと『あ』なのか『う』なのか『お』なのか違うので、そこにこだわっているのかなと感じ、覚えたいと思いました。すごく覚えにくかったですが、呪文のように覚えました」と微笑みながら答えていた。