バラエティという新天地には、喜びもある。
「芸人さんと仕事させてもらっていますが、おもしろいですよね。NHKを含め、これまでの自分の人生では、こんなおもしろい人たちと一緒にいることがなかったですから。たとえば、かまいたちさんには、言葉の選び方や間のとり方に、よく感心させられます。
嬉しかったのは、ダウンタウンさんの番組に出させてもらったとき、浜田(雅功)さんが、僕の頭をバンバン叩いてくださったことです。『ずっとテレビで見てたあれだ! 浜ちゃんに叩かれた!! うわー!!!』って舞い上がりました。NHKにいたら、浜田さんに叩かれることなんて、まずないですから」
登坂には、胸に掲げる “人生訓” がある。
「50歳を目前に突然、人生が大きく変わって、思いもしなかったほうへ来ました。でも、僕には人一倍『後悔しないで生きていこう』という気持ちがあるので、迷いはありません。
なぜかというと、僕が社会人になる前に、父親が亡くなったんですね。当時、父は54歳だったかな。突然、体調不良を訴えて、検査したらステージ4のがんだったんです。『死は突然やってくるものなんだ』と、目の当たりにした瞬間でした。
だから社会人になった当初から、『1年目めだから、これはまだできなくていい』という考えは、まったくありませんでした。やらなければならないこと、たとえばキャスターでいうと、『5分のニュースと天気を、時間をキープしながらわかりやすく伝える』という基本は、可能な限り早くできるようになろうと努めてきたんです。
そうやって自分なりにキャリアとスキルを重ねてきましたので、『やったことないことに、どういうおもしろさがあるか』という好奇心は、今でも変わらずに持ち続けています。変化していくことが、嫌いじゃないと思うんです」
待望の娘が誕生した今、「パパ」という新たなステージで、どんな進化を見せてくれるのか――。
とさかじゅんいち
1971年6月10日生まれ 東京都出身 NHKではおもに報道番組のキャスターやデスクを担当。2018年に退局し、フリーアナウンサーに。Youtube『登坂淳一の活字三昧』で、さまざまな企画に挑戦。ツイッター&TikTok(ともに、@tosakajunichi)で発信しながら、ブログ『白髪のパパ』を更新中