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『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』進化した新しいガンダムができるまで
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.05.17 16:00 最終更新日:2021.05.17 16:00
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は「シャアの反乱」の12年後を舞台に始まる。
U.C.0105年、地球連邦政府は特権階級以外の民間人を強制的に宇宙へ移住させる「人狩り」政策をおこなっていた。この政府に対し、反地球連邦政府運動「マフティー」は、要人の暗殺という手段で抵抗を開始する。運動のリーダーは「シャアの反乱」でアムロとともに戦ったブライトの、息子・ハサウェイだった。
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ある計画のため、地球行きのシャトルに乗っていたハサウェイは、そこで対マフティー部隊の司令・ケネスと、謎の美少女・ギギに出会う――。
富野由悠季氏が32年前に発表した小説を、新世代のスタッフたちはどう映画化したのか。
「僕自身、ファーストガンダム世代。中2のときに『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を劇場で観ていて、それから30年以上たって、まさか自分が続編を映画化するとは思いもしなかったです」
こう話すのは、今回の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』3部作を担当するサンライズの小形尚弘プロデューサーだ。
「先日、3部作の話が出たときに、原作者の富野さんから『2作めの話は構成的に映画ではもたない。絶対やめなさい』と忠告されたんです。
たしかに作品全体のモビルスーツ(以下、MS)の戦闘シーンはこれまでのガンダム作品と比べて少ないのですが、ハサウェイ、ギギ、ケネスの感情が交差する人間ドラマが非常に読み応えがある。これまでにない大人も楽しめる新しいガンダムができると考えています」
第1部も戦闘場面から入る定石の作り方をやめた。
「村瀬修功監督とも話し、思い切って登場人物の感情のすれ違いを描くことに振りました。もちろんMSのアクションも新しい表現に挑戦しています。
これまでサンライズ第1スタジオは “手描き” を中心にメカアクションを作ってきましたが、今作の重力下を自由に飛び回るガンダムを描くために、3DCGを多数導入しました。ラストの空中戦では、CGや手描きという手法の違いを凌駕したものができたと思っています」
小形Pは本作で「世界に通用する作品」を目指した。
「『逆襲のシャア』でアムロが見せたアクシズ・ショック(※)のような現象を目のあたりにした人が、何を感じ、どう変わっていくかを描いていくのが富野さんの『ガンダム観』。
そのガンダムを観て育った僕らの世代が作った作品も、お客さんだけでなく、作り手にも影響を与えるものにしたい。
ガンダムという名前がついている以上、どうしても富野さんの手のひらにいる部分もあるかもしれません。それでも、自分たちができるいろいろな手法を使い、進化した新しいガンダムができたと自負しています」
※アムロのνガンダムやほかのMSのサイコ・フィールドにより、地球に落下する資源衛星・アクシズの軌道がそれた現象