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松たか子は数字を持ってない?『大豆田とわ子と三人の元夫』低視聴率の原因を考えてみた

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.05.18 11:00 最終更新日:2021.05.18 11:00

松たか子は数字を持ってない?『大豆田とわ子と三人の元夫』低視聴率の原因を考えてみた

 

『大豆田とわ子と三人の元夫』が “ヒット作” と呼ばれる可能性は、もう潰えたと言えるだろう。

 

 先週火曜放送の第5話の視聴率が6.2%で、物語の前半戦となる第1話~第5話までの平均視聴率は6.4%。
(※視聴率はビデオリサーチ調べ/関東地区/平均世帯視聴率)

 

 

 ストーリーがどんなに面白く、毎週視聴しているファンからの評価がどんなに高くても、この低空飛行の視聴率のドラマを “ヒット作” と呼ぶのは難しい。

 

 本作は3回の離婚経験がある主人公・大豆田とわ子を松たか子が演じ、とわ子に未練があったり気にかけたりしている3人の元夫たちを松田龍平、東京03・角田晃広、岡田将生が演じるラブコメディ。

 

 30年前の大ヒットドラマ『東京ラブストーリー』(1991年/フジテレビ系)をはじめ、ここ10年ほどでも『Mother』(2010年/日本テレビ系)、『最高の離婚』(2013年/フジテレビ系)、『Woman』(2013年/日本テレビ系)、『カルテット』(2017年/TBS系)といったスマッシュヒットドラマを多数手がけてきた、脚本家・坂元裕二氏のオリジナル作品でもある。

 

 この豪華な俳優陣と大御所脚本家による『大豆田とわ子と三人の元夫』、筆者の個人的な感想を一言で言うなら「めちゃくちゃ面白い」となる。

 

 にもかかわらず視聴率的には惨敗。視聴率だけで判断するなら “失敗作” の烙印を押されてしまうのだろう。

 

 そこで『大豆田とわ子と三人の元夫』の大ファンである筆者が、視聴率を取れない理由を本気で考えてみた。

 

■理由1 主演の松たか子が数字を持っていない

 

 松がヒロインを演じた『ラブ ジェネレーション』(1997年/フジテレビ系)は平均視聴率30.8%、同じくヒロインを演じた『HERO』(2001年/フジテレビ系)は平均視聴率34.3%とモンスター級の数字を叩きだしているが、両作とも主演は全盛期の木村拓哉。松の力と言うよりはキムタク効果が大きかったのだろう。

 

 松は連続ドラマに主演した回数はさほど多くないが、数少ない主演作である『役者魂!』(2006年/フジテレビ系)や『カルテット』(2017年/TBS系)は、視聴率一桁台だったのである。

 

 今期ドラマのトップを走っている『ドラゴン桜』(TBS系)の主演・阿部寛のような、主役俳優として見る者を惹きつける強烈なインパクトはないように思うし、今期のラブコメドラマで主演している石原さとみや北川景子のようなビジュアル的な華やかさもない。

 

 松の演技力の高さは折り紙つきだが、連続ドラマで毎週視聴者をテレビの前に座らせる求心力は、さほどないのではないだろうか。

 

■理由2 物語に起伏がなく淡々と進行しすぎる

 

『大豆田とわ子と三人の元夫』にも、ロマンティックな恋愛描写はあるし、物語を盛り上げるトラブルも発生している。

 

 しかし他のドラマと比較すると、よくも悪くもドキドキ展開も発生する問題も規模が小さいし、演出も淡々としており控えめ。

 

 また、とわ子をはじめとする主要キャラの多くは、どちらかというと喜怒哀楽を感情豊かに表に出すタイプではない。

 

 それがシュールで心地よい空気感を生み出すファクターとなっているので、そういった “振り幅の狭さ” こそが本作の醍醐味でもあるのだが、ドキドキ・ハラハラといった強い刺激を求める方の琴線には触れないのだろう。

 

 また、多くの恋愛ドラマの場合、恋に落ちるメインの男女が明確になっているのがセオリーで、視聴者はその2人の恋の行く末をドキドキしながら見守るもの。

 

 しかし、本作はそういう意味での最終的な着地点が今のところわからず、恋のゴールがどこにあるのかわからないため、引きが弱いのかもしれない。

 

■理由3 会話のセンスやオシャレ感が鼻につく

 

 おそらくこれが一番の理由なのではないかと思っている。

 

 本作の最大の魅力は、坂元裕二氏のセンスがこれでもかと発揮された脚本にある。

 

 とわ子や元夫たちが繰り広げるテンポのいい会話のキャッチボールは、実に軽妙でクスっと笑ってしまう。また、とわ子を揶揄したような、おかしみあふれる女優・伊藤沙莉によるナレーションは、独特でクセになる。

 

 だが長所と短所は表裏一体。ウィットに富んでいて完成度の高い会話劇やナレーションは、脚本家や演者たちの “ドヤ感” が見え隠れし、強烈なセンスを押し売りされているように感じてしまう人も多いのだろう。

 

 余談だが、劇中で登場するマンションもオフィスもレストランも、どこもかしこも非常にムーディーでオシャレなのだ。ダサい背景なんてほぼ皆無で、画面的にも終始スタイリッシュなのだが、そんなところに “オシャレの胸焼け” を起こしてしまう人も少なくないように思う。

 

 こういったセンスの塊のような世界観こそ、ハマる人にとっては最大の魅力に映るのだろうが、ハマらなかった人にとってはただただ鼻につく……そういうことなのかもしれない。

 

 個人的にはもっと多くの人に本作を観てもらいたいが、ここから視聴率的に挽回できるかどうか……第6話は今夜21時放送である。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

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