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浦沢直樹が描いていた「東京五輪危機&ワクチン争奪」…ウラサワ漫画が“予言の書”といわれる理由
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.05.27 11:00 最終更新日:2021.05.27 11:00
コロナ禍の巣ごもり需要で今、漫画業界は絶好調だ。
「漫画は一度、SNSと過ごす時間に負けました。街にも楽しいことがあふれていて、漫画の入る隙間は少なかった。それが『やっぱり漫画だ』となったのは、漫画の持つ底力だと、あらためて思いますね」
浦沢は、この環境の変化をポジティブにとらえている。
「部屋にこもらなきゃならない状況って、漫画を読むのに適していますが、描くのにも、もってこい。僕の場合、以前からアシスタントを減らし、一人で描くようになっていましたが、夢中で『あさドラ!』の原稿に向かっていると、子供のころに戻ったように、漫画を描く喜びを感じます。
このコロナ禍のなか、自分で漫画を描いてみようと思う人がたくさん作品を描いて、次世代を担うすごい才能に育ったりしてね。僕も負けてられないです」
そんな浦沢の新たな挑戦の場が、2021年4月末に開設したYouTube『浦沢チャンネル』だ。
「きっかけはツイッターで、『浦沢はいつ新作を描くのか』という投稿を何度か見たこと。もう単行本も5巻になるというのに。僕は作品を電子化していないので、紙の出版とは違う世界で暮らす人たちとふれ合うにはどうすればいいかと考え、『YouTubeだ』と思いました。彼らの世界に “お邪魔します” 精神で入っていく方法はあるな、と。
僕は『漫勉』(NHK Eテレ)という、ゲスト漫画家の方々の作画風景を見ながら対談する番組をやっています。この番組にはものすごい機材が必要になるので、YouTubeでは、もう少し気軽にやってみようかなと。たとえば、若手の作家さんと漫画家事情を語り合ったり、僕のライブドローイングを見せたり、いろんなことができそうです」
『浦沢チャンネル』には、早くも海外からのコメントが多数届いている。『20世紀少年』で主人公が歌う『Bob Lennon』をリリースしたシンガー・ソングライターでもある浦沢だが、海外で同曲を披露すると、合唱が起こるほどの人気ぶりだ。
「YouTubeは漫画と違って、音が出せるのはいいですよね。それを利用して、音楽と漫画の画期的なコラボレーションができるんじゃないかと思っています」
うらさわなおき
1960年生まれ 東京都出身 漫画家。1983年『BETA!!』でデビュー。『YAWARA!』『MONSTER』『Happy!』『20世紀少年』(すべて小学館)をはじめとする数々のヒット作を生み出し、国内累計発行部数は1億2800万部超。現在、最新作『あさドラ!』を、「週刊スピリッツ」(小学館)にて連載中。『浦沢直樹の漫勉neo』新シーズンが6月9日スタート(毎週水曜日22時~/NHK Eテレ)。ミュージシャンとしても精力的に活動し、2枚のアルバムを発表。公式ツイッターは(@urasawa_naoki)、YouTubeは「浦沢チャンネル」で検索
写真(浦沢特写)・石井健
取材&文・吉岡命
※本文中一部敬称略
※『あさドラ!』最新第5集が発売中! コミックスの中に、浦沢作品ならではの “お楽しみ” も封入(『あさドラ!』第1話は、「ビッグコミックBROS.NET」で試し読み可能)
(週刊FLASH 2021年6月1日号)