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竹野内豊『イチケイのカラス』予定調和な最終回に思う、もはや続編は既定路線
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.06.15 11:45 最終更新日:2021.06.15 11:45
続編への色気がむんむんの最終回だった。
第1話から13.9%と高視聴率で、第2話以降も二桁視聴率をキープし続けてフィニッシュした竹野内豊主演の『イチケイのカラス』(フジテレビ系)。
(※視聴率はビデオリサーチ調べ/平均世帯視聴率/関東地区)
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東京地方裁判所 第3支部 第1刑事部(イチケイ)に所属する、自由奔放で型破りな刑事裁判官・入間みちお(竹野内)が主人公。
みちおが先入観にとらわれず自ら現場検証をおこない、冤罪を生むことのないよう真相を明らかにしていくリーガルエンターテインメントで、生真面目な東大法学部卒のエリート裁判官・坂間千鶴(黒木華)がバディ役だ。
ほかにもイチケイメンバーとして、柔和かつユーモラスで部下への理解もある部長裁判官・駒沢義男(小日向文世)、人懐っこい性格のムードメーカーでみちおを慕っている裁判所書記官・石倉文太(新田真剣佑)など、個性豊かな仲間たちが脇を固めている。
数年前の低迷期から復活を遂げつつあった “月9”(月曜21時枠ドラマ)のなかでも、かなり優秀なヒット作となったため、主演の竹野内やフジテレビのほくほく顔が目に浮かぶようだ。
■ラストの主人公の処遇までキムタクの『HERO』を想起させる
昨日(6月15日)放送の最終回(第11話)は、よくも悪くも実に王道なストーリーであり、続編の匂いをぷんぷん漂わせていた。
ネタバレありで最終回のストーリーをざっくり説明しよう。
裁判官としての任期満了が目前に迫るみちおは、たびたび職権を発動し裁判所主導で捜査してきたことが問題視され、再任されない(裁判官をクビになる)可能性が色濃くなっていた。
そんなみちおが最後に担当することになるかもしれない自転車事故案件の裏には、大物議員を父に持つ2世議員・安斎高臣(佐々木蔵之介)の影があった。
最終的に、みちおをはじめとするイチケイメンバーの尽力により真実が明るみに。安斎は検察の追及を受け失墜する……と思われたのだが、秘書が違法指示を認め、安斎自身は罪を免れるのだった。
正義感の強い検事・井出伊織(山崎育三郎)が安斎を次のように糾弾する。
井出「すべてわかっていて、見て見ぬふりをしていたのではないですか? もしくは、そう動くように暗に働きかけたか?」
安斎「しかし、それは罪ではない。裁くなら私以外の人を裁けばいい」
いけしゃあしゃあと開き直ったうえ、その後に続けて、
安斎「入間みちお、またいつか会うことになるかもしれないな。そのときが楽しみです」
そう不敵な面構えで言い放ち、去って行くのだった。
要するに、最終回で扱った事件は一件落着したものの、裁かれなかった巨悪が主人公に宣戦布告するという、喉に小骨が刺さったような終幕。これはどう考えても、シーズン2や劇場版といった続編制作が既定路線だろうと思えてしまう。
また、みちおはイチケイメンバーや東京地検特捜部の戦友たちの働きにより、裁判官クビをギリギリ回避。温情人事により、熊本地方裁判所 第2支部 第1刑事部所属となったことがラストシーンで判明した。
『イチケイのカラス』は20年前の月9ドラマ『HERO』の既視感だらけだったが、木村拓哉が演じた『HERO』の主人公検事も、シーズン1の最終回で那覇地検石垣支部に飛ばされていた。
『HERO』の展開を頭に入れたうえで視聴すると、みちおが裁判官をクビにならなかったことも、地方に飛ばされたことも、あまりにも予定調和に見えた。
この手のドラマのセオリーどおりと言えばセオリーどおりで、もはや偉大なるマンネリといった域。
『HERO』の主人公検事も続編で東京に戻ってきたので、『イチケイのカラス』も続編が制作されたあかつきには、みちおが東京にカムバックすることは想像にかたくない。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中