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三四郎、四千頭身、ハナコ…関東の芸人躍進の陰にひとりの “ゴッドマザー” がいた!

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.07.11 11:00 最終更新日:2021.07.11 11:00

三四郎、四千頭身、ハナコ…関東の芸人躍進の陰にひとりの “ゴッドマザー” がいた!

「第7世代はみんな、私の劇場から巣立っていった」と熱く語る

 

 いまや売れっ子の芸人たちも、芸歴の最初は小さな舞台。事務所ライブやインディーズライブですべり、切磋琢磨して這い上がってくる。劇場でもがく芸人たちを、20年以上見つめ続けてきたのがK-PRO代表の児島気奈さん(39)。“関東お笑い界のゴッドマザー” とも呼ばれる彼女の「お笑い愛」は筋金入りだ。

 

 高校時代に雑誌の文通企画で知り合った友人から「中野のお笑いライブのお手伝い」に誘われ、東京のインディーズお笑いにどっぷりハマる。

 

 

「1999年ごろですね。みんな貧乏なのに楽しそうにお笑いをやっていて、カッコよかった。高校に通いながらライブの手伝いをして、大学に入ってからもライブの裏方ばかり」

 

 大学は2年で中退。芸人の気持ちが知りたくて、舞台にも上がったという。2004年からは、K-PRO名義で主催ライブをおこなうようになる。

 

「劇場押さえといてと言われて、代表者の欄に名前を書いたのが最初。独学ですけど音響、照明、舞台転換から受付……なんでも一人でやりました。

 

 そのころは、ギャラはもらってないです。むしろ会場代とかが赤字になったら、みんなで割る。それが毎日。芸人さんには言わなかったのですが、いろいろバイトして、その給料は全部突っ込む感じで(笑)」

 

 2011年、転機が訪れる。

 

「東日本大震災のときに人生を考え直し、バイトを全部やめてライブだけにしました。大学中退、フリーター、これでお笑いをやめたら何も残らない、意地でもやり続けるしかないと。

 

 お金を稼ぐには、丸一日会場を押さえてライブ1回じゃもったいないから、1時間ライブを3本やる。それをできるだけ毎日というようにシステム化したんです。

 

 2回めの公演で、MCを村田渚さん(故人、元フォークダンスDE成子坂、鼻エンジン)にお願いし、運よく出ていただけると「渚さんが出てるなら」って江戸むらさきさん、ホーム・チームさん、シャカさん……当時の人気者たちが出てくれて。これが大きかった。

 

 芸人さんが『K-PROライブはお客さんを集めてくれるし、出演料も払ってくれるからまた出たい』と所属事務所に言ってくださり、それで私一個人でも続けられました。

 

 単発ライブでも、ギャラは一組5000円、テレビに出てた芸人さんには、もうちょっと払っていたと思います。『勉強の場』とか『(ライブは)出てなんぼ』じゃなくて、お客さんからお金をもらってギャラも発生しているんだから、ちゃんと “仕事としてのライブ” にしようと」

 

 まっとうに運営されるK-PROのライブからは、多くの芸人がハネていった。

 

「最初にハネたのはバイきんぐ、三四郎ですね。テレビで売れる人って、やっぱりちゃんとライブでウケてる人なんです。ウエストランドや四千頭身、宮下草薙、かが屋、ハナコ……みんないまあれくらいテレビで活躍してるのも納得というか。

 

 タイミングがよかったからじゃなくて、ホントにおもしろいから売れたんだって感じています。

 

 三四郎の小宮さんが売れたきっかけとなった『ゴッドタン』に出たとき、運悪く骨折して歯も折れていたけど、それがおもしろがられた。本人にあとで聞くと、『どうにでもなれ!』って思ってたらしくて(笑)。

 

 小宮さんって昔から頭は冴えてるけど、言ってることがおかしかったり、ふにゃふにゃしてる感じ。それでもおもしろいから私も『どんどん前に出な』とか『先輩に失礼なこと、どんどんしな』とか、けっこう言っていて(笑)。

 

 私よりも2、3個年下なのもあって、弟分みたいな感じで一緒に頑張ってきた気持ちはありますね」

 

『キングオブコント2013』王者のかもめんたるも、K-PROライブの常連だった。

 

「優勝は感慨深かったですね。前のコントユニット(WAGE)のころからの知り合いで、コンビ結成のとき、私は一緒にいたんですよ。(岩崎)う大さんに『組みたい』って話をしたいから、一緒に来てほしいと槙尾(ユウスケ)さんに呼ばれました。『僕のこと褒めて。組んだほうがいいよってサポートして』って(笑)」

 

 さまざまな芸人たちとのつき合いも古いが、「プライベートで遊ぶ芸人さんより、楽屋で話してる芸人さんのほうがおもしろい。仕事として一線引いていたからこそ、芸人さんをちゃんと『おもしろさ』で判断できたと思います」と言う。

 

 多くの芸人が「児島さんにお世話になった」「信用できる」と語る理由はここにある。

 

 現在、K-PRO運営の劇場『ナルゲキ』を毎日稼働させつつ、単独ライブの裏方や、ネタ番組のキャスティングなどさまざまな仕事をこなす。

 

「1999年から20年以上、劇場にいたので『劇場で観るお笑いがおもしろい!』と伝えていきたいですね。オープン1年めからコロナ禍で追い込まれましたが、毎日満員にするノウハウをこれから作り上げていきます」

 

こじまきな/2004年、お笑いライブ・イベント制作会社K-PROを旗揚げ。年間1000本を超えるライブを開催し、他社主催ライブの制作協力などもおこなう。また芸人所属プロダクションとしても活動。常設劇場「ナルゲキ」(西新宿)も運営している。http://kpro-web.com/

 

(週刊FLASH 2021年7月20日号)

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